書評・読書


 

毎月10冊以上の書籍を読んでいます。

子供のころからの読書好きです。

 

皆さんの仕事や自己成長につながる書籍を選び、自分なりの書評を加えてお届けします。

 

皆さんの読書人生の参考となり、豊かな人生を過ごすことを応援していきます。


書評30

Think Clearly  ロルフ・ドベリー

スイスのベストセラー作家が著した本書は、世界29カ国で翻訳されている。

 

「より良い人生を送るための必要な道具箱」として、

52の思考法を提言している。

 

この52の思考法は、心理学研究の成果である。

 

精神心理学、社会心理学、ポジティブ心理学、

ヒューリスティックスおよびバイアス研究、

行動経済学、臨床心理学、認知行動療法などから

まとめられている。

 

私は、マーケティング&セールスを原点に、心理学に惹かれて学び始め、

行動経済学、応用行動心理学、ヒューリスティックスおよびバイアス研究、

購買心理学、ポジティブ心理学などに学びを進めてきた。

 

心理学が、実学として、

人生を、より良く送るための道具=実践的手法になる、

という本書の趣旨に大いに賛同している。

 

52の思考法の中から、

あなたに必要なものを必ず見つけることができる。

 

著者は、おそらく必要度・優先度・重要度の高い順に

52の道具を配置していると感じた。

 

その一番は、私の大切にしていることであった。

 

1. 考えるより行動しよう

  何かに長く思い悩んでも1mmも前に進まない。

  人生に置いて、自分が何を求めているかを知るには、

  何かを始めてみるのが一番良い

 

配置順の高いものから、印象に残ったものを記す。

おそらく、私が強く感じるものと、

あなたの感じるものは異なることを

念頭に置いていただきたい。

 

2. なんでも柔軟に修正しよう

  飛行機が予定ルートを飛んでいる割合は、実はゼロ%。

  常に修正している。

  重要なのは修正する技術。

  計画が間違うことは多々あるので、早く修正する

 

3. 大事な決断を行うときは、十分な選択肢を検討しよう

  人は限定合理性で判断する

  人生の全体像を把握しよう

 

4. (心の)支払いを先にしよう

  心が穏やかでいられるように、わざと自分を錯覚させる

 

6. 戦略的に頑固になろう

  妥協しないところを持とう 

 

7. 好ましくない現実こそ、受け入れよう

  失敗から学ぶと、人生が上向く

 

10. 謙虚を心がけよう

  あなたの成功は、自らのみで手に入れたものではない

 

11. 自分の感情に従うのはやめよう

  自分の気持ちに距離を置く

  感情は飛んできては去っていく鳥のようなもの

 

16. 自分の向き、不向きの境目をはっきりさせよう

  「能力の輪」の内側の仕事が良い、能力の境界の周辺を広げていく

 →18. 天職を追い求めるのはやめよう、が関連

 

19. SNSの評価から離れよう

  周りの基準より、自分の内なる基準を大切に

 

26. 楽しさとやりがいの両方を目指そう

 

31. 性急に意見を述べるのはやめよう

  脳は常に答えを出したがる。

  その答えは、好き/嫌い、ポジティブ/ネガティブという基準で出てくることが多い

 

道具箱の中の優先順位は、一人一人の現在の環境で

変わってくるのであろう。

 

52の道具の中から、

現在優先したいことを、

3つ選んで実行してみるのが、

本書の一番の道具箱、

「考えるより行動しよう!」に

あっている。

 

「考えるより行動しよう!」

 



書評29

季節の中の診療室にて 浪越 建男

私の書評で、随筆を取り上げるのは初めてである。

 

著者の浪越建男くんは、

岐阜薬科大学時代の友人である。

 

といっても、彼は、歯科医になるという

自分の初志を貫き、

岐阜薬科大学から、長崎大学歯学部に

3年目に入るときに移っていった。

 

2年間の大学の友人としての付き合いの中で、

本人が書いているように、身体が大きく、

むっつりとした第一印象を持つが、

気持ちは優しく、よく気のつく男であった。

 

観察力が優れたいたのであろう。

また、日々の暮らしの中で、

小さな変化に気づいたり、

その変化を大切にして生きていることが、

歯科医の浪越先生を創り、

秀逸の随筆を書く浪越建男を作ったのだと感じている。

 

彼は、瀬戸内海に面した小さな町に生まれ暮らし、

私は、若狭湾に面した小さな町で生まれ育ち、

今は東京という大都会に暮らしている。

 

読書は、朝の通勤時間に当てることが多いのだが、

彼の随筆を読んでいて、暑い電車の中に、

なぜかとても爽やかな風や香りを感じた。

 

ふっと顔を上げるまで、

地下鉄東西線に乗っていることを忘れている自分がいた。

 

海と田園が浮かぶ。

砂浜が思い浮かび、海風の香りがする。

そんな瞬間を感じた。

 

幸せな気持ちを運んでくれた本である。

 

長崎は、私も九州統括担当の時に度々訪れて、

彼の書いている景色は思い浮かぶ。

 

浪越くんが、旅好きの私に、一つ、嬉しい宿題をくれた。

父母ケ浜を訪れよう!

みかんの食べ比べをしよう!

ウユニ塩湖で撮った写真に負けない写真を撮ろう!

夕陽をゆっくり眺めよう!



書評28

幸福学 ハーバードビジネスレビュー編集部

EI = Emotional Intelligence シリーズの1冊目が幸福学である。

 

幸福学という学問が存在し、

幸福経営学が、

現代型の経営に必須になってきているという

新しい潮流に焦点を当てたものである。

 

本書に、多くの研究成果が掲載されているが、抜粋すると、

 

幸せな者は、不幸せな者よりも

有能な働き手であり、

エンゲージメント(意欲、愛着、一体感など)が高く、

独創的で、生産的であり、

新たなことに挑戦する。

 

十分な睡眠をとり、運動を行い、瞑想し、

人脈を広げ、感謝をしていて、

組織などに対して献身的である。

 

仕事に満足し、仕事から多くのことを学び、

同僚の士気を高め、安全に働き

顧客を満足させ、

組織市民行動も行なっている。

 

いいことだらけである。

 

一方で、本書では、

幸せについて、幸せの追求について、批判的な文章が掲載されている。

 

良い点ばかりに焦点を当てるのではなく、

弊害・デメリットにも焦点を当てているのが

本シリーズの優れた点と感じる。

 

各論文の要点を簡単に記す。(ただし全体は長文です)

 

○職場での幸福は重要である  アニー・マッキー

 

 職場に頭と心でしっかりコミットしている人は、

 アメリカの2013年の調査では30%。

 

 多くは、生活の糧を得るため、週末を迎えるためだけに働いている。

 職場が好きでない人たちは、自己の生産性の低下だけでなく、

 周りに悪影響を与えている。

 

 職場で十分なエンゲージメントと幸福感を得るために欲しいものは次の3つ

 1)将来に向けた有意義な展望

 2)意義のある目的

 3)素晴らしい人間関係

 

 

 

○幸福の心理学  ダニエル・ギルバート、ガーディナー・モース

 

 幸福は測定できるが、

 人は、何が自分を幸福にするのか、

 また、その幸福がどのくらい続くかを予測することが

 あまり得意ではない。

 

 ポジティブな出来事は、実際以上に自分を幸せにすると予想し、

 ネガティブな出来事は、実際以上に自分を不幸にすると予想する。

 

 出来事は、幸福に一過性の影響しか与えない。

 

 些細なことの積み重ねが、幸せの糸口となる

 

 マネージャーの中には、満ち足りているより、

 仕事には、若干の居心地の悪さや、

 不安感を与えた方が良いと考える人がいるが、

 

 著者が知る限り、気をもみ、怯えている社員の方が生産性が高いというデータはない。

 

 満ち足りなさや、不安感ではなく、

 適度に挑戦しがいのあることに取り組み、

 それを達成していようとしている時に

 

 人は最も幸福であることがわかっている。

 

 挑戦と脅威は同じではない。

 

 

○幸福研究の未来 マシュー・キリングスワーク

 

 スマートフォンを用いて、

 トラック・ユア・ハピネスという

 83カ国、1万5千人の人を対象にした研究が行われた。

 

 この研究から判明した主なことは

 

 人間の心は、1日のほぼ半分はさまよっていて、

 気分を落ち込ませる要因になっている。

 

 一方、集中している時間は、幸せと感じている時間である。

 幸福の原動力は、日々の小さな事柄(の集中)かもしれない。

 

 

○否定的な感情がないことが幸福ではない  ジェニファー・モス

 

 著者の夫が重い病気にかかった。

 その体験から導き出したこと。

 

 重い病気の克服のために、

 理学療法や作業療法とともに、心理的なサポートが必要であった。

 

 その原動力は、「感謝」である。

 夫は、感謝の気持ちを日記に書き始めた。

 

 またポジティブ心理学の5つの要素を徐々に取り入れた。

 

 わかったことは、

 

 私たちは幸福とは何であるかを誤解しているだけでなく、

 間違った方法でそれを追い求める傾向があるようだ。

 

 幸福ビジネスは、幸福を目的にしているが、

 本当に重要なのは、そこに至るプロセスである。

 

 何をしている時が一番幸せかを発見し、

 その活動に定期的に関わることで、

 私たちは充実した人生を送ることができる。

 

 ※ポジティブ心理学の5つの要素

 

  ・ポジティブな感情

  ・エンゲージメントを高める

  ・関係:他者と有意義な関係を持つ

  ・意味:人生の価値ある意味、価値ある理念のために行動すること

  ・達成・業績:より良い自分になるために努力し続けること

 

 

○インナーワークライフの質を高める進捗の法則  テレサ・アマビール、スティーブン・クレイマー

 

 インナーワークライフとは、個人の職務経験・体験のことを指す。

 

 DNAを発見したワトソンとクリック、

 彼らの感情・モチベーション・認識を左右したのは、

 「進捗=進捗のあり・なし」であった。

 

 そこで7社の26プロジェクト 283名の研究を行い、

 創造的アウトプットと、インナーワークライフとの相関を見つけた。

 

 精神的な圧力や恐怖が成果を促すという俗説とは反対に、

 少なくとも知識労働の分野では、

 

 満足を覚え、仕事そのものに意欲を持ち

 所属する組織や同僚のことを前向きに捉えている時に

 創造性と生産性が高まる。

 

 また、仕事への責任感が高まり、

 周囲の人にもっと平等に接するようになる。

 

進捗を促す状態=インナーワークライフがプラスの状態を

作り出す要素は、 

 

 ・仕事の援助や支援

 ・敬意の表明や激励の言葉

 ・仕事が有意義と感じること

 

 

 

逆にマイナスに向かわせる・マイナス状態を作り出す要素は

 

 ・仕事を支援しない、または妨害する行為

 ・気持ちをくじく出来事

 

 

 

したがって、人が進捗を感じるように、

 

・小さなマイルストーンを設ける

・インナーワークライフがポジティブになる要素を、

 日常で出来るだけ多く用いる

 

 

 

逆効果は、いわゆるマイクロマネージャーと呼ばれる人たち

 

その人たちの特徴は

・仕事をする際の自主性を認めない、メンバーの一挙手一投足に指示を出す

・部下によく尋ねるくせに、仕事の手助けは行わない

・問題が起きると、すぐに人を責める

 

マイクロマネージャーが善意の人であり、

善意からの行動であっても、

チームに思うような進捗がなく

人が離れていってしまう。

 

 

○幸福のマネジメント  グレッチェン・スプイツアー、クリスティーン・ボラス

 

安定的に高業績をあげる組織の秘訣について調査したところ「幸福感を抱く社員は、そうでない人と比べて長期にわたって高いパフォーマンスを上げる」

 

欠勤が少なく、離職率が低く、求められた以上の働きを行い、意欲の高い人材を引き付ける。そして短距離走よりもマラソン向きで、すぐに息切れすることがない。

 

職場で幸せと感じる社員の2つの特徴

1. 活力をみなぎらせている。生きているという実感と情熱にあふれ、胸を高鳴らせている

2. たゆまぬ学習をしている。新しい知識や技能を身につけ成長していく

 

社員を成功させる方法、幸福を感じさせる方法

1. 判断の裁量を与える

2. 情報を共有する

3. ぞんざいな扱いを極力なくす

4. 成果についてフィードバックを行う

 

成功するための個人戦略

1. 休憩をはさむ

2. より意義のある仕事をする

3. イノベーションと学習の機会を探す

4. 元気のでる人間関係を大切にする

5. 社外活動への波及効果に目を向ける

 

 

○職場での幸福について見落とされていること アンドレ・スパイサー、カール・シーダーストロム

 

幸福は必ずしも生産性の向上につながらないという研究がある。

この幸福は、しばしば職場満足度と定義されている。

職場満足度と生産性は、イギリスのスーパーマーケットを対象にした研究では府の相関がある。逆の結果の研究もある。全体としてみれば、職場満足度と生産性の相関は弱いといえる。

 

幸福の追求、幸福を求めることばかり意識していると、むしろ幸福度が下がるという研究もある。幸福が義務になると達成できないときに、みじめな気持ちになる。

 

職場で幸福を求めると、上司との関係に悪影響をもたらすことがある。上司からの正当な評価と感情面の励ましを、絶え間なく欲しがるようになる。上司から期待通りの反応が得られないと、自分が見放されていると感じ、過剰に反応することが出てくる。自分を幸福にしてくれるのは上司だと期待していると感情面でもろくなる。

 

人は常に仕事で幸せになるべきだという期待を考え直す証拠が十分でている。

その期待は、自分を疲弊させ、過剰な反応を引き起こし、自分をもろく、だまされやすくして、孤独にすることもある。

 

仕事に幸福を求めすぎず、仕事に冷静に向き合い、ありのままに見つめることが必要である。

 

 

〇幸福追求のパラドックス  アリソン・ビアード

 

著者は、幸福について書かれた記事や本を読むことにうんざりしている。

著者は、ネガティブな気分に覆われることがしばしばあり、いつもハッピーな気分でいる人生など想像できない。実際、そうである人には懐疑的である。

 

2009年から、いくつか同様の論点の書籍が増えている。

 

エッティンゲンは、明るい幻想から目を覚まして現実の障害を分析することが大切である。

カシュダンとビスは、ネガティブな感情には良い面もある。

マクゴニガルは、ストレスがあったとしても、それを穏やかな心で受け止めることができれば、

心身の健康は阻害されないばかりか、むしろ改善される。

セルドンは、ただ快楽を追い求めることをやめ、

より有意義なことに心を向けるようになったことで喜びを得ることができる

 

多くの著者の誰一人として、幸せな人生を目指す個人の生き方に、異議を唱えていない。

「幸福の追求」ではなく、本当に目指しているのは「長期的な達成」である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



書評27

共感力   ハーバードビジネスレビュー編集部

ハーバードビジネスレビューのEmotion Intelligence(心の知性)シリーズの2冊目が、

共感力です。

 

ハーバードビジネスレビューに掲載された論文のエッセンスがまとめられ、

巻頭文に脳学者の中野信子さんが寄稿されています。

 

共感の優れたところ、必要なところだけでなく、

行き過ぎた共感のリスクを掲載しているところが、

本書のバランスの素晴らしさを感じます。

 

論文のエッセンスから、さらにエッセンスを記します。

 

●「なぜ共感力が必要とされるのか」 中野信子

 

 知識・知能と共感力、どちらが重要か?

 今は、「頭」だけではなく、それ以外の何かが必要

 「頭』=知識・知能は、これからはAIに。

 

 知能と共感力が司る脳の領域は前頭前野に存在する。

 この領域は、人間という種において著しく発達しているところ。

 

 両機能は、協調的に働くこともあれば、どちらかというとお互いに拮抗する場合が多い。

 そして知能の方が弱い。

 これは、人間は群れをなすことで生き残ってきた歴史にあり、

 生き残るための武器である。

 両方が生き残るための武器であり、双方を拮抗させずに協調させることが新しい技術か。

 

●「共感力とは」  ダニエル・コールマン

 

 共感には3タイプある

 ・認知的共感:他者の視点を理解する力

 ・情動的共感:他者の感情をくみ取る力

 ・共感的関心:相手が自分に何を求めているかを察知する力

 

 この力は、自分が言いたいことをハッキリと説明するためにも必要なスキルである。

 他人の感情・認知を理解する、自分の感情・認知を理解するー2種類の注意を働かせる

 

 部下への思いやりは、叱責に勝るという多くの研究が行われている(エマ・セッパラ)

 

 優れた聴き手はどう振る舞うか?

 ・黙っているのではなく、発見や洞察を引き出す、投げかけを行う

 ・相手の自己肯定感を育むようなやり取りを伴う、この聴き手に支えられ、信頼されていると思える

 ・協調的で、双方向のスムーズな会話/対話である

 ・相手が受け止めやすいような形での提案やフィードバックを行う

 

 最も優れた傾聴=トランポリンのような役割!

 

「共感と協働を促し、会議の質を高める」 アニー・マッキー

 

 会議をポジティブな感情が生まれる場にして、楽しみ、協働。創造的である、イノベーションの場。

 職場を幸せにすることができる

 

 そのための重要な要素は、参加者を注意深く読む「共感」と「感情の自己管理」

 

●「子育て経験のある上司とない上司、どちらが育児の苦労に共感してくれるか?」

  レイチェル・ルタン、メアリーハンター・マクダネル、ワラン・ノルドクレン

 

 直感で経験がある方と選んでしまうが、それは間違い。

 過去に苦境を乗り越えた経験を持つ人は、似たような苦境にあり克服できない人に対して

 特に厳しい見方をする傾向が強い

 

 したがって、リーダーは過去の経験からの固定観念を捨てて、相手の苦しみに特に注意を払う

 

●「権力を手に入れると思いやりが薄れる」  ルー・ソロモン

 

 権力を手に入れることにより、自分の見方は常に正しい、というように主張するようになる

 協調的でなくなり、思いやりを失う

 他者に共感する能力を妨げる。

 権力は、ときに脳の機能を変えることもある(カナダの神経学者 スキンビダー)

 

 権力乱用を防止するための自己診断10、が掲載されている

 

●「なぜ人は昇進すると横柄になるのか」  ダッチャー・ケルトナー

 

 リーダーはレベルを問わず、誰でも不正を犯しやすくなる。

 カナダの研究では、MBAを保有しているCEOは、報酬は増えるが、会社の価値を下げる。

 昇進すると、利己的な行動を取りやすくなる。

 

 職場では、他の人の話をさえぎる、他の仕事を会議中にやる、声を荒げる、人を侮辱する、など

 

 逆に、マネージャーが、時間を割いて従業員に感謝すると、

 生産性・積極性が高まるという多くの研究がある。

 

●「共感的デザインの原則」 ジョン・コルコ

 

 洞察(インサイト)を導き出すデザイン。

 組み合わせや比較などから、価値提案を引き出す。

 ストーリーにして語る。

 

「共感するにも限度がある」 アダム・ウエイツ

 

 1)共感による消耗がある

   ー医療や社会福祉の専門家には、共感疲労や燃え尽き症候群になることがある

 2)共感できる量には限度があり、ゼロサム状態になり得る

   ー身内の共感に使い、外部者への共感がへる。またその逆もある。

 3)共感は倫理観をむしばむことがある

   ーテロリストなどの内的共感の強さ、残虐行為や不正行為が続く

 

 この対応には以下のような方法がある

 ・共感する相手を分ける 例)従業員に主に共感する人、顧客に主に共感する人

 ・双方の利益になる統合的な解決案を探り出す(ゼロサムにしない)

 ・休憩をとり、自分だけに集中する時間を作る

 



書評26

Die革命  奥 真也

著者は、東京大学卒業の放射線科医師であり、その後、製薬会社、薬事コンサルを経て、現在医療機器メーカーに務めている、医師としては異色の経歴の持ち主である。

 

これからは、病気では簡単に死なない時代になってきている、死なない時代「不死時代」が始まっている。

 

「不死時代」を生きるからには、著者は、「前向きな不死」を手に入れて、

不死時代の恩恵を得るための著者の考えを記している。

 

日本人が平均寿命50歳を超えたのは、昭和22年 1947年生まれの平均寿命が

男性50.1歳、女性54.0歳。

 

抗生物質が実用化され、医療が病気との戦いに勝ち目が出てきた。

ボヘミアンラプソディーに出てきたエイズも不死になった。

多くのガンも標的遺伝子の治療薬や免疫治療薬が出てきて勝ち戦が見えてきた。

AI時代になり、画像診断がさらに進歩すると、適切な対応を早くできる。

(早期発見、早期治療、誤診の防止)

 

山登りに例えると、9合目は見えた。

ただし、残り1合は、山登りと同じで、かなり遠く厳しいのかもしれない。

 

9合目は見えたが、病気の9割は治らない。

糖尿病、高血圧、HIV感染(エイズ)も治癒しないが、共に生きることができる

 

死は、突然やってくるものではなく、ゆっくり進行する状態を強く帯びている。

 

人生は、多毛作時代になっている。

著者の経験からも、いろんな職種で働く。

一旦立ち止まって、自分が本当にやりたいことに向けて

学習したり、投資したりする時間的余裕が出ている。

 

もうやることがない、会社から離れたら家で邪魔者扱いという「後ろ向きな不死」ではなく、

多毛作時代を生きる「前向きな不死」を楽しむことができる。

 

医療の面からも、人生100年時代、人生多毛作時代にアプローチしている。

 

私も、社会人生活は、製薬会社の営業から始まり、

様々な職種・職場、異なる会社で多様な経験の機会を得た。

 

また、学び続けることで、製薬・遺伝子/細胞治療・検査などのヘルスケアビジネスや、

プロコーチ・トレーナー・コンサルティング・人材育成など

多毛作なビジネス活動が充実している。

 

医療と、人生多毛作という2つのキーワードが、本書への共感になったと考える。



書評25

人を動かす、あらたな3原則ー売らないセールスで誰もが成功する ダニエル・ピンク

「ハイ・コンセプト 新しいことを考え出す人の時代」「モチベーション3.0」など、多くのベストセラーを出していて、私の最も好きな作家、ダニエル・ピンクが2013年に著した書。

 

ダニエル・ピンクは、ノースウエスタン大学卒業後、ビル・クリントン政権の補佐官、ゴア副大統領のスピーチライターを務めた。日本の漫画が好きで、マンガ学研究のために日本に滞在していたこともある。

 

出版された2013年当時は、マーケティング・セールスの観点から新たな発見があったが、この3原則はコーチ・コンサルタントにも重要な能力・在り方だと感じている。

 

人を動かす、新たな3原則を、英語の頭文字ABCで示している。

 

A: Attunement  同調

B: Buoyancy    浮揚力

C: Clarity  明確性

 

A:同調には、3つある。

 

1.視点取得

 

自分の経験から一歩踏み出して、他人の感情・認識・動機を想像する力

人の視点に入り込み、その人の視点を理解して、その人の目を通して世界を見る力

(主に思考、認知に関するもの)

 

2.共感

 

感情的な反応、継続的関係の構築や対立緩和に役立つ能力

個人が集団的状況や背景から分離して、単独では存在しない。人々の相関図を書く能力。

 

3.戦略的模倣

 

他人と同じことをする。交渉相手の癖を真似る力。観察し、待ち、少し控えた真似をする。

 

B:浮揚力とは、

 

自発的・内発的動機から、目標追求の理由を考えるように促すこと。

疑問文形式のセルフトークが役立つ。私たちは○○できるだろうか? 出来るだけ小さな行動の質問が良い。

 

ポジティブな質問とネガティブな質問は3対1。ポジティブが高すぎても有害に作用する。楽観的であることは必要だが、時折ネガティブに考えて対処することが重要。

 

C:明確性とは、

 

見えていなかった様相を明らかにして、置かれた状況を理解できるようにすること。

存在に気づかなかった問題を突き止めさせる能力

他人の問題を解決するより、問題を発見する能力

 

3原則を鍛えるためにやることは?

 

自分のフレームを見つける能力。

体験させる、レッテルをはる、難点を示す、可能性を強調する、などのワークを通じて発見できる。

 

質問を使う

特に抵抗する人には、論理的な質問より、非論理的な質問が有効である

論理でわかっていても抵抗しているので、そのことを明確にして、共感・浮遊力を発揮させる。

 

少し難しいのですが、端的には

 

「相手の視点を理解し、想像し、共感する。自発的・内発的動機から目標を考える。存在に気付かなかった問題を発見する。自分の認知フレームを認識する。これらの実現のために質問を有効に使う。」
と理解しています。
売らないで成功するとは、相手が自分の問題だと認識して、それは私に必要だと強く感じるように、進めていくことによります。

 

人やチームを動かしていく、リーダー、コーチ、コンサルタントには必要な能力と思いませんか。



書評24

妻のトリセツ 黒川伊保子

黒川さんの講演は、2度うかがったことがあり、

男性脳、女性脳の違いについて、明確に話され、

その上で、Diversityが叫ばれている現代に、

男性は、どう対応していったら良いか

明確に示してくれる。

 

奈良女子大学物理学部卒業後に、AI開発で、ヒトの感性の仕組みを追求されている。

 

本書は、妻という対象に焦点を絞っているが、

男性と女性の違いを書いており、

男性にとって、妻への対応に役に立つ書であることはもちろんだが、

女性の部下・同僚・上司への対応にも使える。

また、女性が読んでも役立つ書であると思う。

 

本書の書評に戻る。

 

会話の目的がそもそも女性と男性では違う

女性の会話の目的は「共感」。

男性の会話の目的は「問題解決」

 

女性の会話は、あいずちだけで良い。話の展開がコロコロ変わっても大丈夫

男性の会話は、答えを求める。脈絡が必要なので、話がコロコロ変わることが許せない

 

女性の会話は2回線

一つは、「こころ」

もう一つは、「事実」

この「こころ」と「事実」には、4つの対応が可能である。

 

「こころ」の肯定と否定、「事実」の肯定と否定、の組み合わせの4つの回線。

 

女性の会話では、4つの回線の中で使うのは、2回線。

「こころ」は必ず肯定。

こころが肯定されれば、事実は肯定でも否定でも良い。

 

男性は、「こころ」より、「事実」を認めて欲しいと思いがち。

したがって、「事実」を認めたから良いだろうという対応を行う。

 

「事実」を認めても、「こころ」が否定されたら女性は許せない。

男性は、必ず「こころ」を肯定しよう。

 

「こころ」が否定されると、理不尽な言葉を男性に投げかける。

男性は、事実を認めているから、理不尽と感じる。

 

では、なぜ、女性脳は、このように対応するのであろうか。

 

それは、女性脳は、脳梁が太く、左脳と右脳の情報の行き来が出来やすくなっている

 

女性が子育てのために備えている標準装備である。

子育てのハプニングに、目の前で起きている出来事に対処するために

過去の関連記憶を瞬時に引き出して、ダイナミックに答えを出す。

究極の臨機応変機能を有している。

 

また、自分が健康で快適でないと、子孫が残せないので、

「こころ」を大切にして、

ストレス信号を低下させている。

 

相手の話は、ハプニングに活かせる情報としての

プレゼントと感じて、共感する機能を有している。

 

男性は、「それ意味ないじゃん」と思うが、

女性にとっては、今意味がないことも、将来使えるかもしれない

プレゼントである。

 

書いてきたような男性脳対応を行なっていると、

私も妻から、私にとっては理不尽な言葉を投げかけられることがある。

 

その理不尽と思える言葉に、そのまま素直に対応していることが多いが、

妻は、全くそう思っているのではなく、

心を通わせる努力が足りない、と叫んでいる(らしい)。

つまり、いろいろ言わずに、共感しなさい、察しなさい、ということ。

 

自宅での妻からの理不尽な言葉には、なかなかコーチングのスキルを使えていない。

「○○っていうのは?」ではなく、単純に共感することが必要なようだ。

 

対話型コミュニケーションなどのワークショップを実施していて、

男性と女性の違いに話題が及ぶことが多い。

 

本書を読めば、その理由がよくわかる。

 

しかし、女性だからという一律対応では、個性を尊重していない。

「私は仕事の時は、全く男性脳です」と言われる女性の方に少なからず出合う。

 

本書を参考にして、そして個々を尊重することがベストと思われる。



書評23

アドラーに学ぶ部下育成の心理学 小倉 広

著者 小倉さんのアドラー心理学に基づく人間学を

実践に活かすことを目指して、多数の本を出版されている。

 

小倉さんが唱えるアドラー心理学に基づく教育論は、

「ほめない、叱らない、教えない」である。

 

そして、相手が自分の力で課題を解決するように支援する、

”勇気づけ”を行うことである。

 

なぜ、「ほめない、叱らない」なのか?

 

「ほめる(褒める・誉める)、叱る」には上下関係や支配関係が存在している

本人は無意識的であっても、よくしてあげよう!

という上下関係・支配関係が存在しているのである。

 

例えば、野球選手(だった)イチローが、全盛期にヒットを打ったら、あなたはほめるだろうか?

当たり前と思う。

 

自分の子供がヒットを打ったら、どうだろうか?

どんな言葉をかけるだろう。

 

「ほめる、叱る」と”勇気づけ”の違いは何か?

 

ほめると勇気づけの違いは、

YOU(あなた)メッセージ」と「I(わたし)メッセージ」である。

 

例えば、部下が作ってきた資料の出来栄えが良かった時、

 

ほめる:やるじゃない、良い出来栄え 

→つまり、You あなた(の資料)はどうだ

 

勇気づける:とても読みやすいね、相手の立場を考えた工夫がなされているね 

→つまり、I  わたしはこう思う

 

叱らずに勇気づけるとは何か?

 

このやり方は、「I(わたし)メッセージ+質問」である

 

例えば、部下が作ってきた資料の出来栄えが今ひとつだったとき、

 

・叱る:60%くらいじゃない。まだまだだね。ここがダメだね。ここを直しなさい。

 

・勇気づける:わたしはこの点が良いと思う、さらに良くするにはどうしたら良いだろう?

  ○○という見方をくわえてみてはどうだろう?

  お客様がこれを見たら、何て思うだろう。お客様の嬉しいことは何だろう?

 

そして、教えない人材育成の基本形は、

 

What(何を)は一緒に設定する(上長だけが設定するのではない)

How(どのように)は部下に委ねる

By when(期限)は一緒に合意する

 

部下が、どうしたいか、聞いてきたら、

必ず、部下に「あなたはどうしたいか?」を尋ねる。

答えは部下が持ってくるというスタンスで臨む。

 

上長は部下に対してポジティブな期待をする。

ポジティブな期待をしていると、ポジティブな期待が実現する。

逆にネガティブな期待をしていると、ネガティブな期待が実現することになる。

 

上長は部下の成長を支援するが、部下が学び体験し成長するかどうかは、部下の課題である。

上長が部下の課題をとってしまっていては、部下が育たない。

組織の成果のためだと信じて、部下の課題を奪っていないだろうか?

 

さて、わたしも、

かつてはスピード第一だったため、部下の課題を奪っていたことが多々ある。

 

一方、全然できない上司であるが人柄は良い人だなと思っていた上長は

実は、わたしに全部任せてくれて、わたしの成長を支えてくれた大人物である。

当時は、全く気付かず、俺が自分でやったと高慢ちきであったことを今は反省し、

任せていただいた先輩たちに大変感謝している。

 

現在の職場では、視点を与えたり、新しい考え方を体験させたりするが、

自分で詳細の手を動かすことは極力行なっていない。

 

Kiku塾の講座・ワークショップでも、教えずに体験していただき、

内省から学んでいただくことを基本形にしている。

 

アドラー心理学に学ぶことは多く、現実の世界で取り入れられることが多い。

現実の世界で最も役立つ、アドラー心理学に基づくリーダーシップや

コーチング、人材育成など、どんどん広げていきたいと思っている。

 

学び・実践する人が増えれば、Happyなチーム・組織が広がっていくと確信している。



書評22

頭のいい人は、なぜ方眼ノートを使うのか? 高橋政史

著者は、メーカー時代に3トントラック1台分の営業資料をスリム化したことから、

香港のマーケティング会社の取締役、戦略系コンサルティング・ファームの経験から、

ノートの作り方・まとめ方によって、勉強・仕事・教育に役立つとしている。

 

私も含めて、多くの人にとって、ノートの取り方を学ぶ機会はなく、

自己流で、それぞれがノートにまとめてきた。

 

ノートの取り方によって、勉強・仕事などの日々の活動に、どれだけ影響があるか、

を考えると、1冊読んで、ノートを買って、取り方を変えることは

小さなチャレンジかと思われる。

 

いつでも、開始できることであるが、なかなかスタートできない人は

今週、方眼ノートを買ってみてはどうだろう。

 

書評に戻る.

 

方眼ノートの効果は、6つある。

 

1.「忘れない記憶」ができるようになり、記憶力がアップする!

2.「黄金の3分割」で、ロジカルシンキングができるようになる!

3.「新聞のように、ノートにも見出し」をつけるだけで、問題解決力が高まる!

4.「プレゼンノート」で、プレゼンがうまくなる!

5.「書き心地ファースト! 」な紙とペンで、モチベーションが上がる!

6.「ストーリーとしてのノート戦略」で、勉強力が高まる!

 

なぜ、効果があるのか

 

まず、方眼ノートである理由。

・線が自由に引くことができ、自由に分割できる

図や表や、矢印が書きやすい

(罫線のノートでは、その罫線があることで、

 罫線通りに書かなければという思い込みが生じる)

 

ノートには3つの機能がある

覚える:勉強する、定着させる

考える:本質を見極め、理解し、結論を導き出す

伝える:相手が求める情報を選び、簡潔にわかりやすく整理し、改善策や解決策を提案して、人を動かす。

 

この3つの機能をフルに発揮するためのノートの書き方として

コンサルティングファームの発想法・思考法に基づき、

3分割を推奨している。

タイトル、見出しを1フレームと考えると、4分割になる。

 

それぞれ書く/整理する内容は

タイトル、見出しページ:テーマ、できれば質問を書く

  結論として、その答えを書く

  さらに、重要なポイントを書き出す(3つ)

 

次の3つのフレームは、マッキンゼー の空・雨・傘に従っている

・空:事実認識 ー空は曇っている

・雨:解釈 ー雨が降りそうだ

・傘:判断・行動 ー傘を持って行こう

 

文字だけではなく、因果関係や前後関係を示す矢印、図、表、グラフ、絵など

視覚的にパッとみて分かるものがあることが望ましい。

色は3色以内で、自分なりに使う色と理由を決めて、わかりやすくする。

 

コンサルタントは、ノートにまずまとめて、そのノートを

提案資料にするのは、外注しているとのこと。

ノートに整理することになれると、パワポに仕上げるには外注で可能となっている。

 

私は、マーケティング時代に、アイデアが浮かぶと、

ノートに、どんどん図や表やどんどん書いていった。

 

何人かの人に、どんなノートを記載しているのですか?

どんなノートをとれば、アイデアが出るのですか?

仕事が早くなるのですか?

と言われ、見せていた。

 

頭の回転を止めたくないので、字を綺麗に書くより、

アイデアの流れや、整理のフレームワークを大切に記載してきた。

 

重要なところは、色で囲み、また行動すべきことは

アクションとして別に書くか、☆印などをつけて目立たせた。

 

方眼ノートに、本書に沿って、一つのパターンを繰り返し練習し、

空・雨・傘のそれぞれの枠の中に、矢印や図・絵などを使っていくことで

どんどん思考の整理がスピードアップされ、わかりやすくなると

感じた。

 

方眼ノートは、著者が監修した、ナカバヤシのノートがある。

 

私は、書き心地の良さと、マーケティング部門に友人のいる

マルマンの方眼ノートを愛用している。

スパイラルノートの方眼、ニーシモネ方眼がオススメである。



書評21

スッキリ中国論 スジの日本、量の中国  田中信彦

現在の会社で、中国人と働く機会が多い。

 

ある中国人は、常に部下に勝ちたがり、自分が一番でないと気が済まない。

少しぐらいのルール違反は気にしない傾向にある。

列に並ぶことは基本やらない。

懇談会や忘年会などでは食べきれないくらいの量を頼む。

 

不思議な行動を取る人である、と感じてきた。

その理由が本書を読めば、

スッキリしないが、違いが理解できる。

 

私の所属する社長室にも中国人メンバーが加わり、

顧客に中国人を迎えることが増えてくる。

中国人の理解を深めることが必須になってきたことが

本書が売れている理由でもあるだろう。

 

前提が長くなったが、書評に入る。

 

著者は、1983年に早稲田大学を卒業後、1990年代から中国事業に取り組み、

コンサルタントとして、リクルートの中国事業や、大手服飾チェーンの中国事業など、

多くの企業の中国ビジネスをサポートしている。

 

結論として、日本人は「スジ」で考え「スジ」を通したがる

あるべき論が重要

 

一方、中国人は、「量」で考える

「あるか、ないか」の現実論であり、あるなら「量」を重視する。

また、「量」で考えるので、許容範囲が広く、細かいことより大体で良い。

 

本書には、具体的な例が、ふんだんに記載されている。

その通り!と、心当たりがあることが沢山出てくる。

 

いくつかの例を示す。

 

・お金の使い方

 スジの日本

  お金を使うか使わないかは論理で判断、使うときに理由が欲しい

  節約は美徳(お金持ちであっても)

 量の中国

  今、払えるかどうかで判断する(理由は必要ない)

  お金持ちは太っ腹であるべきで、どんどん使うべき。社員にご馳走するべき。

 

・犯罪・ルール違反

 スジの日本

  10円のものでも窃盗・万引きは犯罪

 量の中国

  社会的影響が大きくなければ犯罪ではない。

  窃盗も500元(8000円)以下は犯罪にならない

 (驚き! だから少しぐらいならとルールには従わない)

 

・自己統制

 スジの日本

  世間体や社会規範を重視する

 量の中国

  自分で律する人になる。自分でできていると誇示する。自分は正しい。

  (自分ができていなくても、できていないことは認めない。

   他人は正しくないが前提にある)

 

・評価・自尊心

 スジの日本

  動いて、良い結果を出したら高い評価。

  動いてから、感謝されて、自尊心が高まる

 量の中国

  好意の先払いを求める(量が先)。

  高い評価を得たら動く、自尊心が満たされたら動く

  自分にとってのメリットが大切で、自分の力が他より優れていることが大切

 

・仕事と収入

 スジの日本

  どんな職業であっても、誇りを持つ。尊ぶことができる

 量の中国

  お金の量が稼げる職業が素晴らしい。

  ブルーカラーにはなりたくない、尊敬されない。

 

スジの日本、量の中国、どちらが正しいではなく、

それぞれの特徴を理解し、お互いが気持ちよく、協力していくところを

求めていく。

 

また、役割分担もあるだろう。

 

それぞれのメリット・デメリットで、書評を締める。

 

スジの日本

メリット

 ・行動が計画的になる

 ・仕事の前処理をするので、スムーズに進むことができる

 ・仕事の仕組み化が得意

 ・行動後の問題の発生率が低い

 ・リーンが素晴らしいので、生産性が高くなりやすい

 

デメリット

 ・決断に時間がかかる

 ・前例にとらわれやすい、変化しにくい

 ・心配過多で杞憂に終わることが少ない

 ・無駄が生まれやすい(心配のため・予防のための仕組み)

 ・オーバースペックになりやすい(万一のことを考えて準備)

 

量の中国

メリット

 ・決断が早い

 ・現状の変化に対し、臨機応変に行動する

 ・結果的に効率的になることが多い

 ・問題が発生してから動き対応するので、うまくいっているときは無駄が多い

 (うまくいっているときに改善はやらない)

 

デメリット

 ・規範性が低い、人によって言うことが変わる

 ・継続性に乏しい、一つのことを続ける根気にかける

 ・ものごとの本質を追求する姿勢が弱い 

 ・同じ失敗を繰り返しやすい

 ・ファットが素晴らしいので、無駄が多くなりやすい

 ・仕組み化が苦手、仕組み化すると自分が目立たなくなるのでやりたがらない

 ・面子・自尊心が高まらないと動かない

 

全ての日本人が同じではないように、全ての中国人も同じではない、

ということも忘れるべきではない(これもスジ論の日本人だ)と思った。



書評20

ファスト&スロー ダニエル・カールマン

著者は心理学者であり、ノーベル経済学賞を行動経済学の分野で受賞した。

 

本書を読んだのは、相当前であるが、

自己のマーケティング&セールスに取り入れ、

またKiku塾の講座にも取り入れている。

 

私たちは、毎日毎日、何時に起き、何を食べ、何を着て、

誰と出会い、何を話すかなど、何百何千もの意思決定を行なっている

人は、これほど多くの意思決定を行なっているため、

出来るだけ、そのエネルギーを使わずに意思決定を行なっている。

 

合理的であるかどうかを判断した意思決定であることはほとんどなく、

重要な複雑なことだけを、しっかり考えて意思決定している。

 

著者は、人は、2つの思考モードを持つとしている。

一つ目は、システム1 ファスト(Fast)で、

もう一つは、システム2 スロー(Slowである。

 

システム1 ファストは、

自動的に高速で働き、努力は全く不要か、必要であってもわずか。

自分がコントロールしている感覚はない。

 

システム2 スローは、

複雑な計算など、頭を使わなければできない困難な知的な活動。

しかるべき注意が割り当てられる。

 

システム1とシステム2には、相互作用がある

通常は、システム1が働いていて、

システム1から送られてきた、印象・意思・感情などの材料を

システム2が少し働き、最低限の修正を行い、自分が正しいと思って行動している。

 

システム1が困難に遭遇すると、システム2が応援に駆り出されて、

問題解決に役立つような、緻密で的確な処理を行う。

システム2は、あなた自身の行動を常に監視する技術を持っている。

 

システム1とシステム2は極めて効率的に作用するように出来ている。

 

一方で、システム1は、錯覚を起こす。

典型的な例として、一本の線の両側に矢印が書いてある図で、

(>ー<) と、(←→)では、同じ直線の長さでも、

長さが異なって見える(この文章中の直線の長さは同じではない)。

 

システム1は、衝動的で直感的でもある

 

また、システム1を制御するシステム2は、怠け者であり、

システム2が認知的に忙しいと、人はシステム1で判断して

利己的な選択を行いやすくなり、挑発的な誘惑に乗りやすく、

表面的な判断を行いやすくなる。

 

このことから、人は様々なバイアス、ヒューリスティックスを引き起こしやすい。

 

本書には、人が起こしやすい、様々なヒューリスティックスについて述べている。

 

いくつかの例を示す

・先行刺激の影響

・慣れ親しんだものが好き

・自分が見たものが全て

・フレーミング効果

・アンカー効果

・利用可能性

・もっともらしさ

・わかったつもり

・保有効果

・プロスペクト理論:参照点と損失回避

・4分割パターン

・滅多に起きない出来事

 

人は、このようなバイアス・ヒューリスティックスを起こすことを知っていることで

自己の判断・選択にどのような影響を及ぼしているか、

同様に、他者の判断・選択にどのような影響を及ぼしているかを

適切に考え、適切に意思決定する機会が増加する。

 

私は、バイアス・ヒューリスティックスを避けるために、

自己のシステム2が働きやすい、午前中(私は朝型人間)に

判断することや、難しい問題に取り組むことにしている。

また、一度仮決定したものは、朝に見直すと冷静になれる。

 

頭が、システム2を使い切ったな(システム2が疲れた)と感じたら、

単純作業を行うことにして、システム2を休ませる。

夜にセミナーをやるときは、その前の時間は、頭を休ませる時間をとることに

している。

 

行動経済学が、自己や他者の判断・選択について教えてくれることは大変多く、有意義である。



書評19

LIFE DESIGN   ビル・バーネット&デイブ・エヴァンス

著者は、米国スタンフォード大学のデザイン・プログラムの講師たち。

両者ともアップルでも働き、パワーブックなど数多くのデザインを行った。

 

スタンフォード大学の人気講座を書籍にしたものであるが、

デザイン思考に基づく非常に具体的なワークが掲載されており、

読者が、実際に頭・手、そして身体を動かしながら、

人生をデザインしていくことを目的としている。

 

私 菊岡は、本書は一読ではなく、

実際に自分の生活で、本書のワークを実施してみることを、お勧めする。

書籍LIFE SHIFTがベストセラーになり、人生100年時代において

自分のLIFE DESIGNを考えてみる良い機会になることと思う。

 

「デザイン思考」とは、

発散思考であり、

目の前の問題を別の観点から捉え直し、

色々なアイデアを出し、プロトタイプを作り、

対話を行いながら試行錯誤を繰り返し、仕上げていくこと。

 

この「デザイン思考」が、「人生」という正解のない、かつ重要なことと

向き合うには、打ってつけの考え方である。

 

どう人生をデザインするのが理想的なのか?

・あなたの人間性

・あなたの考え方

・あなたの行動

この3つが、スロットマシンの「777」のように

ピタリと揃う人生が理想的である。

 

実際にやってみるワーク

1. 現在地を知る:健康、仕事、遊び、愛 

2. 人生のコンパスを知る:仕事観と人生観を書き出す、そして質問に答える

    - どの部分が補いあっているか、どの部分が食い違うか、因果関係はあるか

3. 熱中できる道を探す

    - グッドタイム日誌をつける、エネルギーに満ち溢れている時を知る、

    - それらはどんな活動で、どんな環境で、どんなやり取りで行なっているのか、自分の役割を考察する

4. 人生プランを描く

5. プロトタイプとして、体験できること、インタビューする人、ブレストする人などを書き出してやってみる

6. 失敗は起こるので、失敗から学ぶことに毎日取り組む

7. サポーター、メンター(コーチ)を見つける、チームを作る

 そして、理想のライフデザインに向かって動くことである

 

もちろん、私 菊岡は、本書に従い、LIFE DESIGN WORKを実施した。

そして、私がKIKU塾で主宰していることは、

もちろん自分が楽しく、自由であり、エネルギーに満ち溢れる時間である。

 

実際に皆さんが本書のワークを実施してみることをお勧めする。

サポーターやコーチとともに実施してみたい人には、もちろん私がサポートできれば嬉しい限りである。



書評18

メンタリング・マネジメント 共感と信頼の人材育成術  福島正伸

現在「行動変容を引き起こすコーチング」を頻繁に実施しているが、

私はメンターとして多くの人にも関わってきた。

また企業のメンター制度の導入にも関わった。日本メンター協会にも入り学んできた。

 

メンターのあり方について、書かれた本の中での、私の推薦本が本書である。

著者 福島正伸氏は、早稲田大学法学部卒業後、様々な事業に挑戦し、1988年現・アントレプレナーセンター設立、代表取締役に就任。自立創造型相互支援社会を目指し、自立型人材の育成、組織活性化や新規事業立ち上げ、地域活性化支援の専門家として、これまで30年以上に渡り、約7,500回、述べにして30万人以上に研修、講演を行う。人生が変わったという人が多いと言われている。

 

著者は、メンタリングには3つの行動基準があり、それには、また順番があるとしている。

 

1番目の行動基準は「見本」(となる)

2番目の行動基準は「信頼」関係

3番目の行動基準は「支援」

 

メンターは、「見本」となり、「信頼」を築けて、そして「支援」が可能となる。

一方、メンターに支援される人「メンティー」には、

人は自分の力で成長しようとしない限り、成長することはできない。

 

メンターの定義は、

 

相手が自発的に自らの能力と可能性を最大限に発揮する自立型人材に育成することができる人

 

メンターの3つの行動基準とは、

1.「見本」(になる)

・自分が面倒で、難しい仕事をやる

・ピンチを喜び、チャンスに変える

・ビジョンとポリシーを最優先に行動する

・自分が助けてもらう前に相手を助ける

・自分はヤル気満々に取り組む

・クレーム対応に全力を尽くす

・不満、愚痴は言わない

・常に明るく、できないと言わずにやってみる

・自分が夢を持つ、感動するような仕事をする

 

2.「信頼」関係

・信頼できないと思う人をも信頼する、相手をそのまま受け入れる

・自己開示する、自分の欠点をさらす

 

3「支援」

・手法に頼るのではなく、まず姿勢、在り方

1)聞く、聴く 

2)相談にのる、一緒に考える 

3)自分の意見を伝える 

4)提言するー相手のために貢献する気持ちで

5)教える、指導するー必要な場面で相手にわかる言葉で

6)語るー自分の体験談や夢、失敗談

7)励ます

8)心の底から誉める

9)感謝する、か野津する

10)委任する 

11)促す 

12) 導く、体験させる 

13) 出番をつくる

14 )提供する:リソース

 

 

メンターが行うメンタリングマネジメント対極を「管理型マネジメント」と呼んでいる。

その「管理型マネジメント」の基本戦略は、「恐怖によって人を動かそうとすること」

つまり、評価や上位者としての「権限」を発揮する、

自らの「期待を押し付け」相手を十分信頼せずに「自己の思い通りに動かそう」とする、

相手の意思に関係なく一方的に相手をコントロールする「強制」を行い「飴とムチ」の賞罰で動かそうとする

 

日本の評価制度や目標管理制度は、

福島先生の言う「管理型マネジメント」にとどまっているところが多いのではないか、と感じている。

 

著者は、「自立型人材とは何か」についても記している。

 

メンタリングによる問題解決は、

メンティーが課題や問題を、プラス受信(好意的に受け止める)して、

自己責任による解明(他責にならない)を行い、

メンティーの「見本」「信頼」「支援」により、自立的に解決していくことである。

 

また、管理職とは、部下の管理をする人ではなく、自己を自立型人材として管理する人が行う職で、自立型人材を育てる職である。

 

過去から現在の自分を見えても自省することが多いが、

福島先生のメンタリングマネジメントに近づいていきたいと日々行動していきたい。

 

コーチは、クライアントの有する専門性を有しない場合が多いので、

専門職の「見本」とはなれないが、

日々の過ごし方の「見本」にはなれる。

 

コーチかメンターかと言う二者択一論、二元論は不毛であり、相手の状況や求めることに応じて柔軟に最大限の支援を行なっていきたいと感じている。



書評17

成功するにはポジティブ思考を捨てなさい 願望を叶えるWOOPの法則 ガブリエル・エッティンゲン

今回は、コーチングで、

アドラー心理学の心得と同等に大切にしている

「WOOPの法則」を紹介します。

 

著者はニューヨーク大学とドイツのハンブルグ大学の心理学の教授。

20年以上にわたり、モチベーションの研究を行なっている。

 

ポジティブ思考がもてはやされている中で、ポジティブ思考だけでは足りない重要な点を捉えた、

WOOPの法則を提唱している。

 

ポジティブ思考があると、辛抱して頑張ったり、粘り強く行動することができる。

過酷な現実にも耐えて行動することもできる。

 

一方、ポジティブ思考のみだと、「きっとうまくいく」と夢見て、

行動しないことや、現実逃避することが出てくる。

夢見ることが、目標達成に失敗している事例を、これでもかと多数紹介している。

 

では、夢見ることを行動につなげて、夢を実現するには、どうしたら良いのか。

 

その手法が、「メンタル・コントラスティング」頭の中の対比であり、

夢へと続く道に立ちはだかる現実と向かい合うことである。

 

4つのステップは、その頭文字をとって、WOOPとしている

  1. Wish   :願い
  2. Outcome :最善の結果
  3. Obstacle :立ちはだかる障害
  4. Plan   :計画、特に障害を克服したり、防止したりできる行動

ポジティブな結果、願望や最善の結果を願うだけでなく、短期の最善の結果と計画(計画行動)を

創ることで、夢が実現に向かうことになり、行動へのエネルギーが高まる

更に、障害を思い描き、その克服行動や防止行動を描くことで、夢の実現に向かう行動に対して

更に高いエネルギーが湧き上がってくる。

 

障害をクリアして行動していくことで、自信がわき、更に行動が加速する。

 

これで夢を叶えることができる。

 

エッティンゲンは、単にポジティブな、夢を描くコーチングを否定している。

 

しかし、メンタルコントラスティングを行い、WOOPを行うことで夢が叶うエビデンスがたくさんあることを唱えている。

 

私のコーチングで最後に聴くこと、良い習慣づくりのセミナーで行なっている重要なワークでもある

 

「何か障害がありませんか」「障害を予測して、その予防行動を一緒に計画しましょう」

 

皆さんの日常生活にも、ぜひ、この問いを取り入れていただければ、行動のエネルギーが高まると確信しています。

 



書評16

座右の古典  鎌田 浩毅

著者は、現役の京大教授であり、専門は地球物理学。奇抜なファッションで講義されていてテレビにも出演されている。

本書は「週刊東洋経済」で2009~2010年に1年間にわたり「一生モノの古典」として連載された50編をまとめたものです。古典1冊ずつを、「名文ピックアップ」「どんな本か?」「本文」「3行で要約!」の構成でわかりやすく紹介しています。

 

古典の読書には、何か重たい感じがして抵抗感のある方も少なくないと思いますが、本書をまず読んで、特に興味が湧いた書を深く読む、そして自分で考える、ということが可能になります。

もちろん、古典の名著ばかりなので、どれも素晴らしい本ですが、自分の中で優先順位がつけられるのだと思います。

 

さて、古典の読書には、4つの大きなメリットがあると記しています。

1)未来に対するビジョンが得られる

2)現代を読み解くキーワードが得られる

3)本質をつかむ訓練ができ、どうでも良いことに振り回されない

4)過去の生きざまを追体験できる

まとめると、

1冊の古典からは、著者が生涯をかけて試行錯誤の果てに得た知恵と処世術を得られること

 

50編の中で、わたしの気になった古典を記します。

  • スマイルズ「自助論」:福沢諭吉の「学問のすすめ」の元となる。人間の優劣は、その人がどれだけ精一杯努力してきたかで決まる
  • ヒルティ「幸福論」:人を幸福にするのは仕事の種類ではなく創造と成功の喜びである。毎日の習慣は幸福の実現に極めて重要である
  • ベルクソン「時間と自由」:自由行為は流れつつある時間の中で行われるもので、流れ去った時間の中で行われるものではない。今ここにある「流れつつある時間」を大切に。この時間を自分で掌握する
  • 神谷美恵子「生きがいについて」:もっとも必要なものは「生きがい」生かされている幸せである。他人をあまり意識せず「自分らしさ」をもっと出して良い。自己の生存目標をはっきりと自覚し、自分の生きている必要を確信し、その目標に向かって全力を注いでいく
  • マズロー「人間性の倫理学」:欲求の5原則
  • オルテガ「大衆の反逆」:大衆とは人類史が生み出した甘やかされた子供。人には2タイプあり、第一は自らに多くを求め進んで困難と義務を負わんとする人々、第二は自己完成の努力をしない人々・風のままに漂う人々
  • ハマトン「知的生活」:仕事のオン、と遊びのオフのバランスの取れた生活。稼ぐ(JOB)と働く(WORK)は異なる。働くは社会の中で役に立つこと。
  • エッカーマン「ゲーテとの対話」:一流のものに触れよ、自分に投資せよ。書物だけでなく経験が必要。
  • アドラー「人生の意味の心理学」:人は皆、自分の見たいように世界を見ている。思考のパターンによる思い込みが発生している。原因論は人を幸せにしない。自分の心の問題は、周囲との対人関係で解決できる。実社会でもっとも役立つ考え方である
  • フランクリン「フランクリン自伝」:時間を無駄にしない、13ヶ条の具体的点検項目
  • カント「啓蒙とは何か」:自ら招いた未成年の状態から抜け出ること。自分の理性を使い、書物を読み新しい情報を得たら自分なりに考えること
  • ショウペンハウエル「読書について」:多読は精神から弾力性を奪い去ることに繋がる。量では断然見劣りしても、幾度も考え抜いた知識であればその価値ははるかに高い。古典が然りであり、古典を読むこと。自分でかんがえていくこと。