書評・読書 バックナンバー 1


 

毎月10冊以上の書籍を読んでいます。

子供のころからの読書好きです。

 

皆さんの仕事や自己成長につながる書籍を選び、自分なりの書評を加えてお届けします。

 

皆さんの読書人生の参考となり、豊かな人生を過ごすことを応援していきます。

 

書評最新版はこちら


書評15

医師のつくった「頭の良さ」テスト 本田真美

著者は東京慈恵会医科大学卒業 小児科の医師。
国立小児病院や国立成育医療センターで肢体不自由児や発達障害児の臨床に携わり、さまざまな援助を必要とする障害を持つ子供の診療と成長にかかわっている。

著者は、 「頭のいい人」とは、「一人一人に生まれながらに備わっている資質や能力を最大限に活用できる人」 と定義している。 では、
生まれながらに備わっている資質や能力を最大限に活用するための方法は? それは「自分の『認知特性』を理解し、最大限に活用していく」こと。 自分の認知特性を知り、その特性を活かす方法を選択し、実際に場面で使っている人です。 認知特性には6つある ・「視覚優位―カメラアイ」タイプ:写真のように二次元で思考・記憶する ・「視覚優位―三次元映像」タイプ:空間や時間軸を使って三次元で思考・記憶する ・「言語優位―言語映像」タイプ:文字や文章を映像化してから思考・記憶する ・「言語優位―言語抽出」タイプ:文字や文章を図式化してから思考・記憶する ・「聴覚優位―聴覚言語」タイプ:文字や文章を耳から入れる音として処理する ・「聴覚優位―聴覚&音」タイプ:音楽や音階といった音楽的イメージとして入力処理する 認知特性というものが存在することを知らずに、 子供のころから、記憶するための工夫を行ってきた人も多いと思います。 自分で読んで音で覚えられる人。
書きながら声に出せば良く覚えられる人。
図にまとめると良く覚えられる人。
“まんが”だと良く覚えられる人。 東大の医学部教授と話していて
「私は全て写真で覚えられるので一度教科書などをみたら覚えられます!」と聞いて、
凄い人がいるものだと感じていました。 私も、もちろん認知特性があることは知らずに、
矢印などを使ってノートを取って見返すことや、
どんどん音として発話しながら同時に書いていくことで必死に暗記していました。
どのようにすれば良く覚えられ理解できるか、はわからずに
自分なりに工夫していたことがよみがえってきました。
認知特性を知っていれば、もっと早く覚えられ理解ができたのではと感じました。 私の今のノートの取り方・作り方も図式化が多いです。
中学の時の社会科・歴史の先生が、キーワードを矢印などで結んで図示化していくことがわかりやすいと
気づき、自分でも同じようにまとめるようになりました。
「言語優位―言語抽出」タイプの特性を活かしていることが判りました。
図でまとめていくことは、マーケティング部門で働くと得意なことがよくわかってきました。 本書には、人の能力の成長について、また男女差についても書かれています。 さらに、認知特性が違うことから、とくにコミュニケーションで注意を有する関係が記されています。 視覚優位型と聴覚優位型では、見せるだけ・聴かせるだけだと、どちらが理解できて、どちらが理解できないかは明白ですね。 研修/ワークショップなどを実施していて、相手の理解スピードが異なるときは、発信側の工夫が必要と感じました。営業の場面でも、話し言葉だけで伝えようとしたり、図だけで示したりではうまくいかない経験がありますね。 自分の得意の認知スタイルを人に押し付けていて、コミュニケーション・ギャップを生んでいることにも気づき、反省しています。
相手の認知スタイルを判断・理解して合わせていくことで、円滑なコミュニケーションが進むことがあると気づきました。
自己や子供の認知特性を知りたい方は、本書を読んで35のテストを実施してみてください。


書評14

なぜ、われわれはマネジメントの道を歩むのか 田坂 広志

よく、聞かれます。

マネジメントとは何ですか? マネジメント力を高めるとは何ですか?

その答えを探っていく一冊を紹介します。

 

著者の田坂広志氏は、1951年生まれ、多摩大学大学院の名物教授であり、シンクタンク・ソフィアバンク代表・また社会起業家フォーラム代表を務め、ベンチャー企業や新事業の育成にも取り組んでいて、経営者やリーダーを育成する講座 田坂塾を主宰されています。マネジメント・リーダーシップなどの著作多数。

 

タイトルである「なぜ、われわれはマネジメントの道を歩むのか」

その答えは、「人間としての成長を求めて」である。

また、「人間としての邂逅・めぐりあいを求めて」である。

 

部下の成長を支えるための条件として、

自身の成長の意欲が必須である。

その意欲とは、自分は未熟だが一日一日少しでも成長していきたいとして、成長の場を求め、

人間成長に向かって進む人であること、

としている。

 

安易なマネージャー志向に釘を刺し、

以下のようにマネージャーが考えることを戒めています。

・キャリアアップとして考える

・立身出世の手段として考える

・権限や権力の指標であり、権力志向である

・メンバーや様々なものを操作できると考える

 

その一方で、

優れたマネージャーが共通に持つ指標とは、

  • 部下を一人の人間として遇する
  • 一人の人間として成長の可能性を認め、その成長を支える
  • 相手の心の動きを細やか感じ取る、部下の「機」を理解する
  • 相手の心から集団の心が見えて対応できる
  • 謙虚さ・感謝をもつ、それが内面から出てきている
  • 心を強くする修練・鍛錬を行っている

マネージャーとして成長するには、

自身の格闘する体験、仕事や人との関わりで格闘する体験から、私にとっての真実を見出し、

人間成長に向かって進んでいくことである。

 

安易な答えを与える一冊、スキルにフォーカスした一冊ではないが、「在り方」を捉えることができる。

私も、マーケティング部門の製品領域のトップとなり50名以上のメンバーと相対したとき、そして九州沖縄統括として300名のメンバーと相対したとき、スキルではなく人間力を高めることの必要性を痛切に感じた。また、人材育成の必要性をこれまで以上に感じ、弱点だった人間力向上・人材育成に取り組んでいった。このことが現在のコーチングやワークショップ/研修の実施、人に良い影響を与えることにつながっていることから、成長しつづけることって大切であり、何歳でも成長しつづけられると感じている。



書評13

Learn Better アーリック・ボーザー

著者は、デジタル時代の教訓として、事実情報が持っている価値の大半が失われ、新たな価値が必要と述べている。

新たな価値とは、

・データそのものではなく、データを使って、いかに思考の質を上げられるか?

・新しいスキルをいかに効果的に身につけるか?

である。

 

著者は子供の頃、学習困難を抱えていた。その経験から、米国先端政策研究所で働き、学びについての研究、発信を行っています。またビル・ゲイツのビル&メリンダ・ゲイツ財団のアドバイザーも務めています。

 

ニューヨークの女子校で、ダーツの実験が行われた。

チームを3つに分けた。

第一チーム「チーム名 結果が全て」には、ボードの中心を狙って投げるように指示された。

第二チーム「チーム名 学習メソッド」には、ダーツの正しい投げ方という技術を身につけるプロセスに集中させた。

第三チーム「チーム名 ベストを尽くせ」には、チーム名の通り、個人のベストを尽くすことが指示された。

結果は、第二チーム「学習メソッド」が三倍近いダーツの高得点を出した。

 

この実験が物語っていることは、デジタル時代には、

「学習の方法を学ぶこと」が究極のサバイバルツールである。

 

著者は、「学習の方法を学ぶー特に専門知識を身につける体系的アプローチ」を以下の6ステップにまとめている。

  1. 価値を見出す:自分にとって学びたいと思う価値あること。今まで学んできたこととの関連づけ。学びたいことを書き出し、関連性や意味づけを探る。
  2. 目標を設定する:自己効力感(自分にはできるという感情・感動)に繋がること、大きな目的の設定、情動が働くものを設定する
  3. 能力を伸ばす:外部からのフィードバックを活用する。反復練習を行い、必要な量のハードワークを時には行う。人は生まれながらの素質だけではなく、練習により必ず身に付く・成長するということを信じる。
  4. 発展させる:基本から踏み出して知識を応用させる。自分にとってより意味のある形に発展させていく。
  5. 関係づける:今までの学びと嚙みあわせる。事実・手順が、他の事実や手順と関連していることを探り学ぶ。
  6. 再考する:間違いや過信が発生していないかを考える。知識の見直し、振り返り、学び直しを行う。

人生100年時代と言われ、またAIの普及により、人生でいくつかの仕事を変わることは一般的になってきている。

大人の学び直しは必須であるが、どのようにして学び直しを進めていくのか、どうすればより効果が高まっていくのか、はとても知りたいことである。

自己と関連する、価値ある学びたいことを、本書が述べている方法で学び、その効果を確認していくことは一考の価値があると感じ、現在私が学んでいるプロコーチやワークショップ、コンサルティングに生かしている。

特に、3のフィードバックの活用、ある程度の量のワーク、5の今までの学びとの関連づけを意識して学びを継続している。



書評12

戦わない経営  浜口隆則

著者は、社長は幸せの専門家である。

経営は、関わる全ての人を幸せにする仕組みである。

したがって、幸せ追求型の経営を行う。

人生のセンターピンである仕事を、自分らしく、仕事で遊ぶこと。

自分が幸せになり、たくさんの人を幸せにする、ことを訴えている。

 

著者は、横浜国立大学教育学部卒、ニューヨーク州立大学経営学部卒。

会計事務所、経営コンサルティング会社を経て、大好きな起業家を支援する仕事をするために20代で起業。

「日本の開業率を10%に引き上げます!」をミッションにした株式会社ビジネスバンクを創業。

起業家向けオフィス賃貸の「オープンオフィス」はレンタルオフィスという新しい業界を生んだリーディングカンパニー。現在は株式会社ビジネスバンクグループ代表取締役。

 

幸せを分け与える経営を行うために、小さな会社の戦略は、

「戦わないこと」

しかし、「No.1」になることは大切。

ポジショニングは、ニッチの分野でNo.1になること。

誰でもできるかもしれないが、誰もやらないくらいにやり、その分野で一番になる。

 

そうすれば、顧客が喜んでくれる。ファンができる。

 

ニッチでNo.1になるために、ポジショニング・マップを作る。

その方法は、

  1. 競合相手のリストアップ
  2. 特徴の書き出し
  3. 比較表を作る
  4. ポジショニングをグラフ化する

これは、私は、ブルーオーシャン戦略のブルーオーシャンマップと同じと感じている。

 

経営者は、これからは特に母性が重要。安心感が重要である。

組織を作り管理していくことから、一人一人が輝くチームを作ることを推奨している。

仕事を任せて、チームが輝き、地域からも顧客からも社員からも愛される会社になる。

 

私の主宰するKiku塾も、多くの人に幸せを分けていきたい。

CEOは、経営者であり、Chief Happiness Officerでもありたいと思う一冊である。

 



書評11

Zone to Win ゾーン・マネジメント  ジェフリー・ムーア

企業活動を4つのゾーンに分類して、それぞれを他と独立して進め管理すること。

現在は、企業の存続に対して、破壊的変化が自らとは違う業界から突然やってくることがある。

企業は地位を確立した現在のコアのビジネスモデルを変えられないからである。

破壊的な変化に対応する必要性を感じているにも関わらずコアのビジネスモデルを変えられないジレンマにどう対応していくかを示している。

 

ビジネスだけでなく、自己成長・人材育成にも当てはめ、キャリア変化を最後に個人的意見として記載した。

 

著者は、マーケティングでは大変有名な書「キャズム」を出版、その後キャズムを超える「トルネード」を出版し、2017年の最新作が「ゾーン・マネジメント」である。

イノベーションを持続的と破壊的の2軸に分け、また投資と収益の2軸に分けた、4つのゾーン(2X2の4つのマス)に分けて、独立して進めて管理することを推奨している。

  1. 「持続的イノベーション」x「 収益パフォーマンス」⇨パフォーマンス・ゾーン 
  2. 「持続的イノベーション」x「 支援型投資」⇨プロダクティビティ・ゾーン
  3. 「破壊的イノベーション」x「収益パフォーマンス」⇨トランスフォーメーション・ゾーン
  4. 「破壊的イノベーション」x「 支援型投資」⇨インキュベーション・ゾーン
  1. パフォーマンス・ゾーンは「既存事業で成果を出す」ゾーン。業績のエンジンである。投資は翌会計年度で確実に回収し、堅実な管理と部門別売上利益管理を行う。規模の拡大は攻めにつながる
  2. プロダクティビティ・ゾーンは「生産性を上げる」ゾーン。コストセンターであるスタッフ部門などが該当する。経営資源を節約する、コストを削減する。またシステム投資により効率的なサービスを実行することも該当する。特に全体最適を優先し、速やかに実行する。寿命末期の業務やサービスはやめる。このゾーンには、6つのテコがある。それは集中化、標準化、モジュラー化、最適化、測定、アウトソース。現状の些細なことにこだわり、やめるべきことをやめないことが最も避けるべきことである。
  3. トランスフォーメーション・ゾーンは「新規事業を拡大する」ゾーンである。CEO直下におき、2−3年で投資を回収していく。今後の拡大のために重要なゾーンであり、インキュベーション・ゾーンから有望なものを絞り込み、投資していく事業となる。
  4. インキュベーション・ゾーンは「新規事業を育む」ゾーン。3~5年で投資回収する。複数プロジェクトを準備して臨む。技術開発と市場開発は分けて考え、2兎を追い求めすぎない。育成中のビジネスにも全社基準の義務を負わせて検討対象として、良いものはトランスフォーメーションに移していく。

 

長期にわたって成長を続けている企業は、少しずつ変化しているように見えるが、その内部では、上記のような4つのゾーンに自らの取り組みを分けることができ、コア領域の深耕、周辺領域への拡大あるいはコア領域を変更しているのであろう。

 

自分の働く会社は、この4ゾーンに既存事業や新規プロジェクトを当てはめてみると、どうなっているだろうか。自分の部署はどうだろうか、と考えてみると思考が深まるとともに実践できることがあると思われる。

 

また、この考え方を、自己投資や人材育成に当てはめてみるとどうであろうか?

かつての自分を考えると、営業からキャリアをスタートして、その中で学び成果を高める(パフォーマンス・ゾーン)とともに、現場を通じたマーケティングや統計解析・ITスキルやプレゼンスキル等に取り組み(インキュベーション・ゾーン)、マーケティング部門に異動。英語が必要と感じ、英語学習をインキュベーション・ゾーンに置いて朝活で学んでいったことがグローバル業務に取り組むこととなった。また行動心理や購買心理等をインキュベーション・ゾーンとして学んできた。マーケティングについては勉強会(Kiku塾)を主宰し、メンバーに指導することで自己および組織の生産性を上げる(プロダクティビティ・ゾーン)ことで、グローバルの仕事や事業開発の仕事(トランスフォーメーション・ゾーン)の時間にあてることが可能となり経験を積むことが出来た。Kiku塾はプロダクティビティ・ゾーンとして捉えていたが、人材育成・教育は自分にとってはインキュベーション・ゾーンでもあり、教育研修デザイン、ファシリテーション、行動科学、応用行動心理学等の知識・実力を高めるトランスフォーメーション・ゾーンにうつり、これがパフォーマンス・ゾーンに変わってきている。

 

自己投資として、現在の業務に必要と思われる周辺知識に興味をもち、4つのゾーンとして考え、学びを続けることも人生100年時代に必要なことと捉えることができる。

人の成長にも、ゾーンマネジメントは当てはめることができると感じた一冊でもあった。



書評10

頭にきてもアホとは戦うな! 田村耕太郎

社会人としてスタートし、自分に自信が出てきた頃から、自分のやることが正しいと信じ、成功するから提案することを実行したいと推し進めてきたという自分がいた。

推し進めるため、大きなエネルギーを社内での説得活動などに使ってきた。

顧客に対するときの自分は社内とは全く違う態度や行動が取れるのに、社内での検討・内輪での検討になると、大きなエネルギーを使い、顧客の望むことを展開していきたいという強い思いで戦ってきた。

その自分の数多くの失敗がどこから発生していたのか、その対処はどうしたら良いのかを教えてくれる書である。

 

著者の田村耕太郎氏は、早稲田大学、慶応義塾大学大学院(MBA)、デューク大学法律大学院、エール大学経済大学院を修了し、オックスフォード大学AMPと東京大学EMPも修了。山一証券でM&Aを手掛け、政治家にもなり、今はシンガポール大学のリー・クワンユー公共政策大学院で教授を務めている。

著者は成功の道をまっすぐ歩いてきているように思えるが、実は数多くの失敗の中で経験したことを本書に記している。

 

◆無駄な戦いを繰り広げる人の特徴

  • 正義感が強い
  • 自信に溢れる
  • 責任感が強い
  • プライドが高い
  • おせっかいである

アホとは戦わずになすべきこと

  1. 戦うのではなく、本当にすべきことに全力を尽くす
  2. 自分がコントロールできるものにエネルギーを注ぐ
  3. タイムコスト、タイムベネフィットを考える
  4. ”カッ”としたら(頭に来たら)幽体離脱

 

それでもアホ(実際にはアホではない)と戦わなければならない時はどうしたら良いのだろうか。

  • まずは、小さな合意から積み重ねる。やりやすい小さな合意である。
  • また、気まずい時こそ話しかける。これには勇気がいるが、気まずさが小さい時には小さな勇気で声かけられる。気まずさが大きくなる前に話しかける。
  • 相手の気持ちを理解する能力を高める。
  • 共通の利害を見つける、相手に利益を与える。
  • 批判せず、リスペクトして伝える。

相手が「アホ」だと思っていると、上記の5つの行動は決して易しくないと私は感じます。

「アホ」だと思わず、「アホ」にも何か目的があり、違う面を見ていることを気づくことが良いのかもしれません。

コーチング・カウンセリングの逸話の中には、「アホ」と思わず、何かその人によく似た動物(象や、牛や、カバなど)と思って対応すると話しかけるのも容易になり、怒りなどの感情が起きなくなると言われています。

どうしても戦わなくてはならない時には、対峙しなくてはならない時には、自分ができる小さな行動から始めると良いのではないかと私は考えています。

また、相手の気持ちを理解する能力、共通の利害を見つけるには、コーチングのマインド・スキルが大変役立ちます。



書評9

Give and Take  与える人こそ成功する時代 アダム グラント

著者は全米トップ・ビジネススクール「ウォートン校」の史上最年少終身教授であり、心理学者。

Give & Takeは当たり前と思われている人が多い中で、その常識的概念に踏み込んで解説している。

 

人は、Giver、Taker、Matcherの3つに分けることができる

Giverは、与える人、他人中心であり、相手が何を求めているか、を考える人

Takerは、受け取る人、まず自分中心であり、与えるより多くを受け取ろうとする人

Matcherは、与えることと受け取ることのバランスを取ろうとする人

 

Taker が好む価値は、富、権力、快楽、勝利

Giverが好む価値は、信頼性、責任、援助、共感

 

Giverは、自分にとって意義あることをする、自分が楽しめることをする、という条件が満たされれば、他人に与えるだけでなく、同時に自分にも与えることができる。

Giverは成功から価値を得るだけでなく、価値も産み出す。これがTaker やMatcherと異なる点である

Giverはゆるやかな繋がりの人からの紹介や利益が多くなる。

Giverは価値を交換するとともに、価値を増やすことがらできるからである

 

心理学者のソニア リボシアスキーは、1日に一つ与えるより、5つ与える方が幸福度が増すという。

 

Giverは、どの人にも才能があり、その人の一番良いところを引き出そうとする。根気のあるところに目をつけ、粘り強く引き出そうとする

交渉ごとでも、相手側の視点を理解しようとして合意に持ち込むことができる。

Giverの注意点は、与えたことの承認が全くない時の燃え尽きである。

ボランティア100時間ルールがある。年間100時間を超えても幸福度と満足度は高まらないことから、最適活動時間は100時間と述べている。年間800時間を超えると満足度は低下する。年間52週間のうち、50週間で考えると週2時間が最適となるが少なすぎるという実感の方もいるだろう。週16時間は多すぎて、これが続くと燃え尽きる可能性が高くなると考えるのが良いのかもしれない。

 

本題にもどり、かつて自分は人の成功を全て自分がやったことにする人、そして失敗は他人の責任にする人を見てきて許せないと思ったことが多々あった。

本書では、Takerの中には一流のペテン師な人もいるらしい。自分に全く利益をもたらさない人をどう扱うかで、その人がどんな人間か判るという。

Giverであること、Giverでいたことの大切さと素晴らしさが実感できた本書である。



書評8

一流の頭脳  アンダース・ハンセン

驚異的な「脳のアップグレードを可能にする」、科学が実証する世界最新ノウハウ、とは?

 

その解は、「運動 30分程度のジョギングにより脳は若返る」

著者は、スエーデンの世界的に著名であり、ノーベル生理学・医学賞を決定する研究機関 カロリンスカ研究所のリサーチャーであり、精神科医である。その研究成果として、運動こそ、最強の脳のアップグレードをもたらすものと結論づけた。

 

「30分程度のジョギング」ー決して難しくはない、誰でもできることである。

年齢を問わず(幼児以上であれば)、いつからでも始められる。

 

脳の神経可塑性(変わる力)は、大人になっても、たとえ80歳でも失われない。

子供の頃のほどの柔軟性はないが、変わる力を有している。

 

30分程度の運動がもたらすものは、

脳内最強の物質「脳由来神経栄養因子:BDNF」を分泌すること

 

「脳由来神経栄養因子:BDNF」は、

・脳細胞を保護し、脳細胞の生存や成長を促す

・細胞間のつながりを強化する

・学習力、記憶力を高める

・海馬を大きくする

 

また、運動により、様々な物質が脳内で分泌または抑制される

・GABAを放出するニューロン(神経細胞)を作り出す :ストレスに対して抗する力を強める

・コルチゾールというストレスホルモンの上昇を抑え、ストレスの影響を弱める

・エンドルフィンを分泌し、海馬を大きくする、長期記憶力を高める

・ドパミンを分泌し、集中力・注意力を高める。

 

運動による脳のアップグレードについて、数多くの研究結果を取り上げ、その根拠を解説している。

 

運動習慣がなかなか身につかない、という人は、特に一読の価値がある。

運動を続けている人にとっても、さらに継続する力を与えてくれる一冊である。



書評7

リーダーシップは教えられる シャロン・ダロッツ・パークス

リーダーシップは生まれながらに授かっているという考え方がある。

私も子供の頃からそう聞かされ、自分にはリーダーシップは生まれながらに授かっていないと感じていた。

本書では、リーダーシップは、学んで身につけることができるという。

2007年に出版され、リーダーとしての力を伸ばしていきたいと感じていた私に力を与えてくれた一冊である。

 

著者は、ハーバード大学博士号を取得後、同大学の神学校、ビジネススクール、ケネディスクールの教員・研究員を経て、ワシントン州クリントンのホイッドビー研究所が主催する「リーダーシップ・フォー・ザ・ニュー・コモン」ディレクター。シアトル大学でも教鞭をとる。組織や分化の変化に応じたリーダーシップの形成を行なっている。

 

リーダーシップとは、「集団に効果的に関わり、人々の力を育成できる存在」である。

 

学ぶべきこと、身につける資質は、

・メンバーの能力を最大限に引き出す

・複雑なシステムに効果的に干渉する

・創造的な変革を支える

・非言語的なパターン(仕事などの手がかり)を読む

・活力を調整し、集団内の温度を最適に保つ

・人々を懸案事項に対峙させる

 

リーダーは、現場(ダンスフロア)で取り組むと同時に、観覧席(バルコニー)に上がり、現場に起きていることを俯瞰することが必要である。ダンスフロアとバルコニーを往来することが重要である。

 

具体的なリーダーの行動をあげている

・集団の感情の声を聴く

・掲げる問題は人によって異なるということを戦略的に認識する

・凝り固まった思考を解きほぐしていく、自己も認識を変えていく

・集団が適応のための「学習」を進めることを後押しする

・システム内(組織内)の自己のもろさに対して、ある意味で敏感に行動する

・変化と適応を必要とする人々に「仕事を戻す」というリスクをとる

・熱量を大幅にあげる

・自分自身を「学習」のプロセスに組み込む

・長丁場となっても最後まで落ち着きを失わない

・必ず「目的」を中核にして課題に取り組む

・思いやりを持つことを人々に求める

・人々の悲嘆や損失に目を向ける

 

また、次の4つを区分することを推奨している

オーソリティ(権威)とリーダーシップは異なる

技術の課題と、適応の課題を分ける

  適応の課題とは、人々の内面の意識改革、考え方や価値観の改革

権力より進行力

  前進することが大切、権力で前進するなら活用する、権力が抵抗になるならその力を減弱して進める

人格と存在感

  カリスマ性を求めるのではなく、干渉する力を伸ばす

 

Johnson&Johnsonグループに勤めたとき、リーダーシップは全ての人が持っているものとして、全ての人にリーダーシップの発揮を求めていた。仕事・人間関係の場面・場面によってリーダーシップの発揮者は変わって良いと言われていた。

全ての人が上記のようなリーダーシップを発揮していけば、Happyな活力のある場が形成されていくと思われる。



書評6

賢い患者   山口 育子

認定NPO法人 ささえあい医療人権センター COMLの理事長である山口育子さんの著作。

COMLの創設者は、辻本好子さん。62歳でガンで亡くなられたあとを継いで、山口さんがCOMLの理事長に。

 

私がT社マーケティング部門時代に、辻本さん・山口さんの講演を聴き、またT社で実施していた医療マネジメント研究会にも演者として登壇いただきました。

COMLの素晴らしい活動に敬意を称し、著作「賢い患者」を紹介させていただきます。

 

1990年に活動を開始したCOML。

インフォームドコンセントの必要性が言われ始めた年。

 

今では、医療法第1条に「医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療の担い手は、医療を提供するにあたり、適切な説明を行い、医療を受ける側の理解を得るように努めなかればならない」と示されています。

 

法律で定義されている現在でも、医師からの一方的な専門用語を使った説明が行われている場合が少なくなく、

また患者さん自身が病名を初めて知ったという混乱している状態で説明を聞いている場合もあります。

 

COMLでは、医療者・患者の双方の努力が必要として、双方のコミュニケーション能力を高める活動を実施しています。

患者さんの努力として、本書のタイトルでもある「賢い患者」の定義を定め、

また、新「医者にかかる10カ条 あなたが “いのちの主人公” “からだの責任者”を定め

普及活動や、電話相談、ワークショップの開催を行われています。

 

「賢い患者 5つの定義」

  1. 病気は自分の“持ちもの”であると自覚する
  2. 自分はどんな医療を受けたいか、と考える
  3. どのような医療を受けたいかを“言語化”して伝える
  4. 医療者とコミュニケーションをとりながら協働する
  5. 一人で悩まない

新「医者にかかる10カ条 あなたが “いのちの主人公” “からだの責任者”」

  1. 伝えたいことはメモで準備
  2. 対話の始まりはあいさつから
  3. より良い関係づくりは、あなたにも責任が
  4. 自覚症状と病歴はあなたの伝える大切な情報
  5. これからの見通しを聞きましょう
  6. その後の変化も伝える努力を
  7. 大事なことはメモを取って確認
  8. 納得できないことは何度でも質問を
  9. 医療でも不確実なことや限界がある
  10. 治療方法を決めるのはあなたです

子供さん用の「いのちとからだの10カ条」も提唱されています。

 

医療機関向けでは、医療機関を患者さんの視点で改善する「病院探検隊」という活動を実施されています。

病院探検隊を招いて、改善に取り組む医療機関が増えることはたいへん嬉しいことです。

 

詳しい情報が知りたい方は、COMLホームページ http://www.coml.gr.jp/index.htmlへ



書評5

行動の科学、達成の科学 マイケル・ポルダック

母親をなくしたショックから重度の吃音症を発症した著者6歳のときには養父母の家からも追い出されて高校を中退、カネやコネはおろか、家族のサポートすら受けられないなど、絶望的な少年期を過ごす。しかし、たまたま友 
人に誘われて参加したセミナーをきっかけに自己変革に目覚め、吃音症を克服。

その後、1000人以上のコーチングを行い、世界最高のコーチであり、スピーカーの一人と言われている。

 

「達成の科学」2015年1月に出版。

1000人以上のゴールを達成した人の実績と、彼らをコーチングした著者の経験、心理学に基づいて達成を体系化

 

「行動の科学」2015年12月に出版。

情報・知識を学ぶ人は多いが、学ぶだけでなく行動・実践することではじめて現実は変わることを強調

そして単なる実践者ではなく、実践のマスターを目指すことを提唱している。

 

私は特に「実践のマスターを目指す!」ということに、自分の経験から大きな共感をおぼえている。

 

「行動の科学」から「実践のマスター」になる道を示している。

 

人は、進むべき道のたどり方に3つのパターンがある。

1. ちょっとかじってみる、一つ目か二つ目の壁ですぐ行動をやめる

2. ストレスフルな道をたどる。多くの立ちはだかる壁を試行錯誤を行いながら自力でなんとかたどり着く。忍耐と努力の賜物である。

3. コーチのいる道。お手本となる人を見つけて、その人をコーチとして教えてもらう。ゴールまでショートカットできる道である。

 

私の人生をたどると、1のちょっとかじってみる。2の忍耐と努力で成し遂げる、ことがどれほど多かったであろう。

2が多かったので、時間をかければ自力でなんとか出来るという妙な自信はついたのだが。

 

ポルダックは、「すぐにやれない人はいない」ともいう。

やれないのは、「今がやれない状態である」こと。

 

今やれない状態を作っているのは、2つある

1. やることに対して痛みを感じる状態である

2. リミティング・ビリーフ 足止めさせる信念、自分を制限する思い込み

 

今すぐやれる状態にするには

1. 痛みを感じること、を「快・楽」に置き換える

 一つはすぐやることで達成したいことを思い描き、そのゴールを達成したことを強く感じる

 そして、長期のために短期の自己犠牲を払うということを快・楽の行動とする

 また、その犠牲となる行動、例えばマラソンを始める人の場合、1km走ったらノートにシールをはる、あるいは小さなチョコを1個食べるなどの快・楽と思われる行動を加えることがある

 

2. リミティング・ビリーフ(制限する思い込み・信念)を取り替える、置き換える

 リミティング・ビリーフは一度の失敗でできていることが多い。

 その失敗を正しく(ポジティブに)解釈するために自分に次の質問を行う

  ・この出来事の良い点はなんだろう

  ・何がまだ完璧ではないのだろう

  ・望む状態を実現するために、何を進んでやる

  ・望む状態を実現するために、何をやめる

  ・どのように、そのプロセスを楽しむ

 

「達成の科学」「行動の科学」で著者は、

成功する究極のツールは「毎日のインカテーション」である

そして、小さな行動を始めて行動を積み上げていく、大量行動を行う、と述べている。

 

「毎日のインカテーション」とは

自分に力を与え、自分を行動に向けるよう、自分の脳をコンディショニングすること

思考が原因であり、状況は思考から生み出された結果である。

したがって、思考を達成する方向に変えれば、現実が変わっていく

 

インカテーションの進め方

1. 自分のビジョン・ボードを作る

  成功したいことを書き出す。

  いくつかの分野:人間関係、キャリア、健康、報酬、環境、こころ、夢、などについて

  1枚の紙(円)に書き出す。 (9マス、大谷翔平選手のマンダラシートなども可)

2. 運動と組み合わせて、ビジョンの中の一つのことについてゴールを達成していること、

 それを楽しんでいることをイメージする。映像に描く。

3. ゴールを達成したときに、あなたは自分自身に何というかを、声を出して言う

4. 自分の想いをしっかり感じる。そして「理想の人生を生きるために何が何でもやる」と力強く言う

 

インカテーションを行なった上で、日々の小さな行動を行う、習慣化することである

習慣化するために、リミティング・ビリーフ(制限する思い込み)をポジティブな信念・力を与えてくれる信念に書き換える。

痛みを感じることを、快・楽を感じる行動に置き換える。

この書き換え・置き換えによって、行動が継続する。

 

マイケル・ポルダックは、行動の継続だけでなく、大量に行動することを推奨している。

 

私は個人的には、行動が継続できるようになってから、大量行動に移っていくのが望ましいと考えている

また、家族や友人、コーチなどの仲間・支援者がいることが継続しやすくなる方法であるとも感じている。 

目標の記入に、マルマンさんのノート



書評4

超AI時代の生存戦略  落合 陽一

著者は、筑波大学情報学群を卒業、東京大学大学院学際情報学府博士(学際情報学)を取得。

2019年2月現在、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長、筑波大学 学長補佐・デジタルネイチャー推進戦略研究基盤 代表・図書館情報メディア系 准教授 デジタルネイチャー研究室主宰。

提唱する「デジタルネイチャー」という価値観に基づいた研究やメディアアート作品を制作し、著作も数多くある。

 

本書では、著者は超AI時代の中で、これから生き残るものは「Work as Life」をみつけられたもの、と結論づけている。

Work Life Balanceが持てはやされ、残業時間の削減でLifeの充実がうたわれているが、

WorkLifeは切り割けるのではなく、連続する時間の中でのバランスであり、切り割けられない時代がもう来ている。

仕事の時間はストレスフルで、仕事が終わったあとの時間はアンチストレスの時間というWork Life Balanceから、

1日中出来るだけストレスのない状態、かつ個々人が活性化している状態になっていくことを提唱している。

 

「雇用され、労働し、対価を受ける」という現在の多くの人が行なっている労働のスタイルから、

「自分の好きなことで価値を生み出す」スタイルである。

 

では、Work as Lifeどのようにしてつくるのだろうか

3つのやり方をすすめている

・ブルーオーシャンを探す

 ニッチな世界でトップクラスとなる。

 グローバルではなく、ローカルでトップの状態であれば良い。

 自分が関わる環境の中でトップクラスであれば良い。

・一部はITに完全に任せる 

 機械にできることは機械に任せる。特に自身が苦手なことは機械に任せる。

・自分の価値基準に合うものを見出す

 仕事になり得る「趣味」で「好きなこと」を3つ持つ。

 

Work as lifeの報酬は3つある

・ギャンブル的な仕事とその報酬

 ー自分がドキドキ・ワクワクしてたまにうまくいくという課題設定と報酬

・コレクション的な報酬(収集欲を満たす)

 ー積み上がっていくことが見えるもの

・心地よさの報酬

 ー五感を使う、体感的である

そして、他者にアピールして自分を語ることができる。つまり自分が喜び、社会も喜ぶものが望ましい。

 

AI時代には、機械にできることは機械に任せることになり、人間にしかやれないことをやる。

人間にしかやれないこととは、

・コミュニケーション

・運動

・食事

・仕事の発注

・自らの発信、である。

 

仕事の発注とは、

・なぜそれをやるのか・採用するのか

・どんな意味・機能・メリットがあるのか

・どう使っていけば良いのか、である。

これを発信していくことが、Work as Lifeになっていく。

 

自分の仕事の中で、Work as Lifeになっていくものは何か?を、私を含めた読者は考えていきたい。

 

私のWork as Lifeは、コーチやワークショップの開催、組織開発やマーケティング&セールスのコンサルティング、また事業開発である。

自分のとても好きなことであり、得意な分野と認識している。私の関わるローカルでトップを目指している。

報酬として積みあがっていくものには、コーチングの数・時間、ワークショップの実施数などがある。

クライアントやワークショップ参加者に喜んでいただき、それぞれの生活習慣の改善や成長・昇進、夢の実現に支援者として関わっていく嬉しさがある。社会に、より成長に繋がる・いきいきしたコミュニケーションが広がっていくこと、社会課題の解決につながることを望んでいる。

 

AI時代に、皆さん個々のWork as Lifeを、コーチングやワークショップ・コンサルティングを通じて見出していきたいと、読後に深く感じた。



書評3

ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる ジム・コリンズ

ビジョナリー・カンパニー4  自分の意志で偉大になる

 

私の大好きな著者の一人、ジム・コリンズの著作です。

ビジョナリー・カンパニーは、1作目『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』が1995年(日本初版、米国1994年)に発売され、その後『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』と続き、4作目の「ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』に続いています。

企業の成功法則を記載したものですが、人の成長・成功にも繋がると考えています。

 

簡単に最初の3冊の要約を記します。

『ビジョナリー・カンパニー 時代を超える生存の原則』では、経営者が入れ替わった後も長期にわたって成長し続ける企業の特徴を洗い出しています。利益だけではなく、理念も追求し、理念にあった壮大な目標を掲げ、社員のやる気を促します。決して満足せず、改善を実施する環境を作ります。自分たちの価値を大切にした従業員には素晴らしい職場となり、成長を支えます。

 

『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』は、ある時点から急に業績をのばした企業を分析したものです。その飛躍の瞬間に、何がおこなわれたのかがまとめられています。

3つの円の重なった部分(ハリネズミの概念)に集中します。

(1)情熱をもって取り組める (2)自社が世界一になれる部分 (3)経済的原動力になれる分野、という3つの円が完全に重なったものです。

厳しい現実を直視し、逆境に向かい合う中で、3つの円の重なるところへの行動の蓄積とその活用により、急にスピードがアップしているという成長に繋がっています。

 

『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』は、なぜ偉大だった企業が転落したり消滅したりしてしまうのかにフォーカスを当てています。企業は下記の五段階をへて衰退することを発見しました。

1段階:成功から生まれる傲慢

2段階:規律なき拡大路線

3段階:リスクと問題の否認

4段階:一発逆転策の追求

5段階:屈服と凡庸な企業への転落か消滅

 

「ビジョナリー・カンパニー4 自分の意志で偉大になる』では、

不確実な時代に中小企業からスタートして、15年以上にわたって目覚しい業績を上げ続けた企業を「10X10倍)企業」として成功要因・特徴を明らかにしています。

20マイル行進ーどんな状況下でも一貫したペースを守る、自制心を保ち個々の企業に合わせて考えら得た独自の規律を持って進む。規律により好循環を起こす。例えば、教育改革では、学ぶ行動を起こす自力で良質な学力向上策を見つける規律に従い繰り返し実行して成果を出す一定の成果まで同じ対策・行動を続ける自信がわく次の行動(改善行動=向上策)を見つけ行動する(好循環)と続きます。

・銃撃を数多く行い、狙ったところに大砲を発射する。つまり、たくさんのパイロットを低コスト・低リスクで数多く行い、評価し、命中(小さな成功)した中で大砲へ変えるもを見出す。見出したものに資源を集中し、精度(成功確率)を高め(高める準備を十分にとった上で)、大砲を発動する。

 例として偉大なアップルでも、成功する製品を出す前に、デザインの美しさを磨き上げるのはもちろん、業務改善、コスト構造の見直し、間接費低下、時間当たりの生産性アップに取り組み、iMacを出したのち、iPodiPhoneへと繋げています。

・死線を避ける。警戒心を強くして、早期に脅威を認識し、出来事のペースに合わせて判断スピードを調整します。事実を把握し事実に基づいて挑戦します。しかし一旦決断したら完璧に行動します。

例として、製薬企業アムジェンの最初の製品EPO(エポジェン)の申請チームに対して、競合の申請準備状況を把握したことから、申請チームの他の全ての仕事を取り除き、FDA申請に集中させ短期間での申請に結びつけ、競合よりいち早く市場に出すことが出来たことが、現在のすばらしい繁栄に繋がっていることを示しています。

 

ビジョナリー・カンパニーは企業が成功するための処方箋を記していますが、個人の人生にとっても同様に重要な示唆を投げかけています。

今の自分(個人)は小さな存在であっても、自己の価値の合う部分&ハリネズミの概念に集中し、規律を守って進み、傲慢になることなく取り組んでいけば、偉大になれるとも読み取れます。

 

余談ですが、私は、2008年アムジェンの日本法人設立時に深く関わり、何度もアメリカカリフォルニア州ロサンゼルス郊外のサウザンドオークスを訪れ、アムジェンの第一号ビルなど創設時の姿を記録したものを見る機会に恵まれました。

自分の意志で偉大になった企業の大きな企業キャンパスを実際に見ることで、その経営判断の素晴らしさに感動しました。

さらに余談ですが、アムジェン日本法人の獲得競争のなかで、会社を代表してアムジェンの役員会議室で、居並ぶ経営陣を前に、Marketing & Sales Capabilityのプレゼンテーションを行ったことは、会社人生で最も緊張した瞬間の一つでした。

 

書評から考えますと、これからの自分は、自己の価値観に合う部分&ハリネズミの概念(世界一ではなくても身近なところで優位性を築いていくことができること)に集中し、規律を守って進み、傲慢になることなく取り組んでいこうという強い思いを新たにしました。

 



書評2

戦略参謀の仕事  稲田 将人

著者は、TQCに取組んでいた豊田自動織機製作所自動車事業部勤務の後、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、卑弥呼、アオキインターナショナル(現AOKI HD)、ロック・フィールド、日本コカ・コーラなどの代表取締役、役員、事業/営業責任者として売上V字回復、収益性強化などの企業改革を行う。入念な戦略構築のみならず、企業が戦略を実践し、PDCAを廻して永続的に発展するための習慣づけ、企業文化づくりに取組んでいる。

 

私は長くマーケティング部門で会社の中期計画、製品戦略などを立案し、実行してきた。また、現在(20191月)はCEOオフィス長としてトップの戦略参謀の仕事を行なっている。

著者は、「参謀」機能の有無でトップのパフォーマンスに大きな影響を生みだすことができると結論づけている。

 

特に私が戦略立案・実行でこだわっていたのが、戦略を立案する部門(マーケティング)と実行する部門(セールス)の連携であり、現場を重視した戦略を立案し、小さなPDCAを繰り返しながら、現場第一に、また本部でブラッシュアップし実践力を高めていくことである。実践力の向上を盛り込むことで、次の難しい施策を実践することができ、そのこと自体が価値の優位性を高めていく。

 

著者が述べていること、実践していることに共鳴できることがたくさんあり、また私の主宰するKiku塾で教えていることが記してある。

 

当たり前のことが多いと思われるかもしれないが、肝に命じておきたいことである。

 

著者は、「参謀」機能の有無でトップのパフォーマンスに大きな影響を生みだすことができると結論づけている。

 戦略謀の3つの役割は以下の3つである

  1. トップの意志決定の精度を上げるための事業方針に関する現状分析と起案
  2. 社内の「神経系統づくり」と思考の流れの「見える化」
  3. 課題の優先順位づけと課題プロジェクトの対応

 

これら3つについて著者は以下の戦略・方策を記している

 ・ファクトベースの議論とその文化をつくる

  ファクトの把握、ファクトの見える化、ファクトからの原因追及、課題抽出を行う

  特にファクトの見える化の時間を惜しんではいけない

 ・トップと2週間に1回は、十分に話す時間・指示を受ける時間をとる

 

 ・参謀体制は、人望あるリーダーを有し、分析力、コミュニケーション力に長けた人材を配置する。

  参謀が一人なら、その一人がこの役割を担う。そして、組織図のツリーを飛び越えることをいとわない

  ファクトをとるため、参謀部門は社内の駆け込み寺的存在である。相談ごとが飛び込んでくる

 

 ・市場起点であり、価値を生み出す現場主義に基づくことが最重要

  市場の意向を把握し、創造した価値を提供する。

  価値の源泉を作り上げる現場の力を尊び把握しマッチさせる

 

 ・PDCAサイクルの回し方

  スタートはCCheckから。過去と現状の実態のC検証から入る、ホンダではPDCAではなくCAPDと行っている

  PDCAには、戦略立案のPDCA、実戦段階のPDCAがある。

  戦略段階PDCAでは、仮説検証・思考を繰り返し、事業成功につながるようできる限りブラッシュアップする。

  実戦段階では、常に課題に対して行動しているので、実践力を見極めて実践力が足りないのであれば、

  実践力を高めるプログラムを入れて、ステップバイステップ式に行う。

  戦略の精度より、実践力を重視する。

 

 ・戦略策定では、問題発見から始まる「ロジカルシンキング」を駆使する。

  問題発見(ファクト)課題定義戦略的代替案を出し評価を繰り返す。またフレームワークも駆使する。

 ・フレームワークは見える化に有効。気づきを具体化させるものが良い。

  プロセス分析、バリューチェーン分析、業務の流れ分析などを用いる

 

  悪いPDCAに共通するもの

   それは具体性に乏しいこと。具体性に乏しいため、A(改善行動)が取れないことがほとんどとなる。

  ・悪いPDCA例をいくつか示す

    丸投げPDCAPlanを出して、あとはやっといてね。現場に任せた。フォローは曖昧

    どんぶりPDCAPCがどんぶり勘定。精度が低い・粗々なプラン(粒度が高すぎ)

    なんちゃてPDCA:資料を立派に作り見栄えの良いPDCA、具体性に欠けた曖昧な言葉の羅列

  PDCAは小さく早く回すー九州・沖縄統括時代に私はこれを強調し繰り返し実行してきた。

   小さな行動(D)で失敗。成功を検証(C)し、改善行動(A)につなげる。どんどん回す。

   失敗しても個人の責任にせず、組織として学ぶためにあるとして、どんどん事例を収集し、改善行動を取らす。

 

 

私はプロコーチとして、「小さなPDCAで、常に挑戦する勇気を生む、進む方向に明かりが灯されていく」と信じている。また、著者は改革の際には、相手をリスペクトすることが重要で、リスペクトでみんなが動くと記している。

改革を行うときに、現状で業務に携わっている人は責められた感情を抱きがちである。

現状は過去に最善と考えたプランで実行しているだけであると捉え、リスペクトし、受容することで人が動く。




書評1

独学の技法 山口 周

本書は、現在の情報に溢れている時代の独学の技法を示したものである。

著者は、コーンフェリー・ヘイグループのシニア・クライアント・パートナーを務めながら、文筆や哲学ワークショップを行っている。学部と大学院で哲学・美術史を学んだという特殊な経歴を活かし「人文科学と経営科学の交差点」をテーマに活動を行っている。慶應義塾高等学校在学時は、ほとんど授業に出席せず、美術館や映画館、図書館で時間を過ごしていたと話している。

 

私 菊岡は福井県小浜市という田舎に育った。算盤教室があり通ったが、学習のための良い塾はない(塾自体が当時は小浜市にはほとんどない)。通信教育は存在していたが、家が裕福ではなく、ほとんど独学で進めてきた。

学びは、与えられて始めるものではなく、自ずから必要として、独学から始めるものであるということを、体験として積んできた。

学びが与えられることを待っている人には、独学で己を高めていくという方法があることを知り、独学を学び方の一つに加え、独学を身につけていただければ嬉しいと思う。

 

本書の内容に戻る。

独学の目的は、知的戦闘力の向上である。今日では、情報はいたるところにあり、自分が必要とする情報を常にアクセスできるところに置いておく、どこにあるかを知っておくことが求められる。情報には蓄えるべきストック、つまり変化が激しい時代にも重要とされるものと、時代とともに流れる・進歩により変わっていくフローがある。知識は、有用ではあるが、不良資産になるものも多くある。

 

知識には、広さと深さが必要であり、それは人材としてはジェネラリストとスペシャリストに例えられる。T型人材は広さと深さを身につけている。ストックとフローを有し、学び続けている。

 

人生100年時代となり、人生は3毛作となってきた。新たな人生作り(二毛作、三毛作)に、新たな学びが求められる。

 

独学の方法として、以下のやり方を著者は推奨している。

  1. 戦略を作る:テーマ設定、何をインプットして何をインプットしないか
  2. 連続インプット:五感を使う、一次情報を同時に得る、熟考し熟慮するために読む、テーマとジャンルのクロスオーバーを行う(同じテーマでも違うジャンルを選び読む、ビジネスだけでなく歴史・哲学・心理・音楽・紀行などのジャンルを変える)
  3. 抽象化・構造化:連続インプットしたものを組み合わせる、新たな「問い」を考える・創る、感じたことの意味を考える、ジャンルを超えた一般的な意味を考える、自己の体験と組み合わせ一般化する
  4. ストックに変換する:引き出し可能とすること、メモに残す、人と話す

 

最後に、論語の一節を挙げている

「子曰く、学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし)」

洞察しなさい、そして独善に陥ることなきように。

 

私は、コーチ業を行い人を支援し、またKiku塾を主宰し、学びの場を設けている。コーチ・Kiku塾と独学は矛盾せず、クライアント本人の自らの行動、学び(独学もその一つ)を促進していくことと一致していると考えている。

また、自らもコーチをつけて、洞察を深め、独善に陥ることを避ける努力を続けていきたいと感じさせられた書籍である。